LOVEのひろいばなし Vol.93「うさぎのインターステラー現象」

地球デビュー四十年と、LOVEデビューも十六年目突入をマークいたしました。 たくさんのお祝いのお言葉やお気持ちをいただき、ほこほこの気持ちです。御礼申し上げます。
ストロベリーショートケーキ、チョコレートケーキ、ブラッドオレンジアイスクリーム、ラズベリーパイと、THE LIPSMAXの歌詞が如くスイーツに囲まれ、ラジオチームにいただいたミモザの花を見上げながら南部鉄器で茶を飲み、今週を過ごしております。完全に甘やかしの極み。誕生日ってこんなに幸せだったっけ。なんだかとても新鮮な今年です。
さて、誕生日とデビュー日が同じというのはなかなか面白く、ダブルでおめでたいとともにダブルで忙しいというのがこの十五年間のスタンダードでした。ところが今年は平日ということもあり、あと四月にワンマンが控えていることもあり。ゾロ目の配信以外のライブがありませんでした。大変落ち着いております。
まあね、年度末ですから確定申告に追われたり、他の予定はみっちりしてますし、今週末は相馬に打ち合わせにも参りますので、暇ではない。暇じゃないのに落ち着いている。だいたいいつもオーバーキャパでドタバタしているのに、と思えるのがとても新鮮な三月なのです。
ちなみに、本当にたまたまなのですが、二年前のコロナ真っ最中、我が家にうさぎがやってきたのも「3.14」でした。ですので今年もわたしがケーキを食べる傍ら、小松菜、キャベツ、水菜、いちごをひとかけ。爆食いしてもらいました。
保護主さんの都合で、この日に受け渡しが決まった時はご縁がありすぎじゃないかと思ったものです。生まれたのも今頃で、生後一年で我が家に来た個体です。多頭飼育崩壊の現場から来たので詳細はわからないですが、もしかして本当に同じ日に生まれていたら運勢どんかぶりのうさぎと私。なんとなく面白いなと思ったものの、真相はわかりません。ちなみに一日遅ければ、我が盟友ガッツさんこと中澤信栄さんと同じ誕生日、同じ運勢。うわあ、ガッツうさぎ。すんごい喋りそう(ガッツさんも、おめでとう!)。
さて、うさぎの一年は十年に等しいと聞きます。去年ハタチだった個体が、ことし三十路。すごいスピード感です。
私は普段から三十年後の社会はどうなるんだろう、とか、世の中の変化の波のスピード感を見る時には遠い未来を見ますが、自分の人生のことになると目の前のことしか見えないタイプです。実はうさぎとの同居によって、一年を十年のつもりで過ごしてみるという追いうさぎ体験をしています。
来年、私が四十一歳になるとき、彼は四歳になり、つまり四十路になると。その後は、同い年になった上に一月ごとに追い越されていくのです。
これ、プチ・インターステラー現象じゃないか。
…説明しましょう。
見たことがない方はわからないでしょう、映画「インターステラー」現象。ネタバレ含みます(とはいえ、これを読んだところで初めて映画をみても感動できるはず)。
相次ぐ異常気象。それに伴い危機的な食糧難に陥った人類は滅亡の危機を迎え、いよいよ移住先の惑星を探さなければならなくなります。可能性のある星をチェケすべく、トウモロコシ農場主で元宇宙飛行士のクーパーが派遣のご指名を受けます。クーパーには娘のマーフがいます。ミッションに出てしまえば娘の成長を見ることはできないほどの長旅になる。それでもミッションが成功すればマーフの未来につながる。
娘のためにと決断し、仕事を引き受けたクーパーは最初の星に向かいます。ところがその惑星、すぐ近くにあるブラックホールの強力な重力の関係でエネルギーが歪んでおり、時間の概念も歪んでしまうのです。その星で過ごすたった一時間が、地球の七年に値するとか。
覚悟して惑星に降りて行ったクーパーでしたが、機械の故障により数時間を過ごしてしまいます。必死で脱出したクーパーが宇宙空間に戻ったとき、地球では二十三年の時が過ぎていました。その間、娘のマーフは成長し、いろんな人生の節目があった。その全てをクーパーは見逃したどころか、マーフの方では送れども送れども返事の来ない父親の生存をもはや諦めていたのです。
嗚咽しました。
たとえ離れていても「誰かと時間を共にしている」ことの愛しさ。 「同じ時間を生きている」というそれ自体が希望だったことに気づかされます。 二十三年分のビデオレターを一気に見て唖然とするクーパー。
そしてその希望が消滅していく音が聞こえそうなほど、ガラガラと自分の支えが崩れていくような、猛烈な寂しさが押し寄せました。そして、そうなって初めて、もう一度、強烈な愛しさが沸き起こって、涙が止まらなくなったのです。
一番好きな映画の、一番好きなシーンはと聞かれたらこの場面かもしれない(もしくはメトロポリスの……話が長くなるからまた今度)。
誕生日やデビュー記念日は、一年ごとにやってきます。無事、太陽の周りを地球がもう一周するたびに。
よく「同じ時代に生きていることを嬉しく思う」などといいますが、生まれた瞬間に「0:00」のタイマーがスタートしていて、安定した平等な時間の中を私たちが進んでいなかったら、そうはいかないのです。
話は戻って、うさぎのインターステラー現象。
そう、うさぎの生きるスピード感は我々の十倍です。
私の一日が、彼の十日です。
私の一時間が、彼の十時間です。
ただただ、楽しく、幸せに、健康に、気持ちよく暮らして欲しいと願いました。
そして、そういうふうに自分に対して願ってくれている人たちがたくさんいることも改めて実感しました。
ストレスを抱えている場合ではない。なるべく快適に。工夫をして暮らそう。そう思うようになりました。いつから人間はただただ健康に気持ちよく生きることがこんなに下手くそになったんだろう。
ちなみに、うさぎはものすごくストレスや環境の変化に弱い生き物です。捕食動物なので、他の動物に食べられる側の種として進化しています。逃げ足が早く、空中で逃げる方向転換ができる、というスーパーパワーはあるけれど。声帯もなく、骨も柔らかく、お腹も弱い。
他の生き物を自分から攻撃する能力が備わっていません。ものを噛んだりするのも、草を歯ですり潰さないと歯が永久にのびて噛み合わせが悪くなったら食事ができない、という原理で噛んでいるだけです。
彼の目線で人間をみたら「そんなに長生きできるくせに、何やってんのかなあ」と思うことがいっぱいある気がしてしまいます。かといって羨ましがっているとは思いませんが。
人間だって、同じ時間のスピードで生きているはずなのに、人より短い命の人もいるし、長生きする人もいます。それを均等に割っていったら、一日が二十四時間とは限らないのかも知れない。
私の一時間は、あの人の十日間かもしれない。
あの人の一年は、私の十年かもしれない。
年を重ねるごとに、インターステラー現象の意味がわかるようになるのかもしれません。
曲「Let Your Love Sing!」の中で「愛はいつだって3.14」「割り切れないけど無限大のTreasure」と歌っております。時間の割り方、生き方のスピード。その方程式があるとしたら、きっと長ったらしくて難しい数式なんでしょうけど、結局は必ず愛や希望の要素が絡んでいるのだろうと想像します。
デビュー日、誕生日、うさぎが来た日、円周率の日。
たくさんのご縁に感謝が沸き起こって、温泉ばりに浸かってる気分。今年はどのろうそくを吹き消す瞬間も、ケーキをくれた人のことや家族のことが浮かびました。みなさんこそどうぞ健康で幸せでご機嫌に暮らせますように。本当に長らく、そして深く、理解を寄せてくれてありがとうございます。

ガッツ氏がどのくらい喋るかというと。まじで私がキレかけるほどよく喋ります。ものすごく平和なことばかりを。なので好きなんですけど。
わたしが都道府県ツアーの行き先の話をしていたのをきっかけに、沖縄の島に一緒にライブで連れて行ってくれたことがありました。彼は毎年行っているんだそうで。勝手知ったるご様子。ライブに宿に全部手配してくれました。
こちらのミニマムな旅費を気遣ってくれ、宿について連絡がありました。
「こっちの宿ってさあ、やっぱ土地があるっていうか?まあ詳しくは知らないけど、やっぱ観光客が多いからかなあ、ペアとかね、家族とかね!僕みたいにひとりの旅行者想定してないっていうかね、リゾートだからね、はっはっはっは、部屋が広いのよ!」
なんの前置きかと思いましたら。
「そうなのよ、で、僕の部屋がですね、ツインなわけ。だからまあ、らぶちゃんさえよかったら?ツインで?同部屋なら、宿泊代はいらないよー!ってほらお互い色々大変でしょ?はっはっはっは!もはや出会って十年ぐらいで、はじめて?やっと?恋が?はじまっちゃったり?」
「しねえから。けどほんとにそれは助かる!ありがとう!けどいいのかなあ?ガッツさんさえ良ければ」
当時確かガッツさんはシングルだったはず、気遣う奥様もいらっしゃらないし、学生気分で許されるなら同部屋、宿代なし、めちゃくちゃありがたい。そしてなより面白そう。
「こちらこそ、らぶちゃんさえよかったら。面白いじゃない。旅は思い出。もちろんですよ」
「じゃあお言葉に甘えて。変な気起こしたらマジでぶっ飛ばしますよ。けどご一緒させてもらおうかな」
「約束するよー!変な気?起こさない起こさない。けど、そんなこと言ってえ、らぶちゃんのほうが僕の魅力にとうとう目覚める的な?的な?はははは!うざい?俺うざい?ほんとね。年々、増してるって言われるのよ。うざさが!じゃなくて、魅力が〜!わっはっはっは!」
そもそも電話するたびに必ず「あなたのガッツです」って電話をとる人ですから。本当に頼り甲斐がある先輩でありつつ、超マイペースで馬力があってだいぶ面白いんです。
そんなガッツさんとライブを終えて飲んで、無事ホテルに戻り。ツインの部屋で就寝タイムです。
「俺めっちゃいびきすごいよおー!多分横で寝れないよー!!わっはっはっは!!」
というので「絶対に先に寝かせて。お願いだから先に寝ないで」と約束してもらい、歯磨きだなんだを先にさせてもらい、私が布団に入ってから寝る準備をしてくれと頼みこみ、ほとんど無視されながら、やっと消灯。
「おやすみなさい、今日はありがとう」
「いやーおもしろかったねー、うんうん、おやすみ」
……からの1分後。
「いやしかし!!!ほんとに俺たちも十年前にドリカムツアー一緒にやってから時が流れてこいまだにの友情、素晴らしいよね!だいたいね。ソウルっていうのはさ!!」
はじまった。うるさい。まじでうるさい。
けど中身はいい話。そう、ソウルってね。なかなか真似っこだけで歌っても楽しくないし、本物の魂と、テクニックと、うんうん。一緒に歌いやすい、歌いづらい、あるしね。そういう意味ではガッツさんと歌うのはもう本当に安心感と楽しみしかないしね。わかるよ。わかる。ボーカルの相性、本当にいいよね。と、その隙間に五回くらい「寝て、お願いだから寝て」と挟みながらも十五分くらい暗がりの中で話しこみ。
「うん、うん、ありがとうね。これからもよろしくね」
「こちらこそ。ありがとう。おやすみなさい」
……からの三十秒後。
「……ねえねえ起きてる?起きてる?」
「うるせええええええええ!だまってえええええ!!!寝かせてくれえええええ」
ゲラゲラ。
からの翌朝、超絶低血圧の私に対して、起きた瞬間からまったく寝る直前と同じテンションで楽しそうに生きているガッツさん。
「あっはっは。本当に嫌そうな顔してるね!!ほらほら、朝からガッツですよ〜!」
三月、十四日生まれと十五日生まれの我々です。この時期はいつもガッツさんの幸せをも祈る私です。