LOVEのひろいばなし Vol.85「非常用バッグとオウナーシップ」

私は、阪神淡路大震災を経験しておりません。九五年。ちょうど両親とともに3人でアメリカに住んでいた年だったのです。ただし、我が姉二人はすでに大学生だったので、日本に残っておりました。実家に一年放置され、厳しい両親の監視から解放された大学生二人がどうなるか。察しがつきますね。フリーダム!カオス!ひとり留年!

阪神淡路大震災が起きたのは一月十七日の明け方、五時四六分のことでした。我が姉二人はリビングルームのこたつで、賭けUNOだか賭けトランプだかで大盛り上がりしていたタイミングだったそうです。夜更かしにもほどがある時間、でも仲がよかったことが命を救ったみたい。

私の実家は高槻市にあり、大阪府とはいえど京都との境にあります。例えば神戸までは五十キロほど離れているのでそうでもなかったんじゃないの、と思いましたら。有馬〜高槻断層帯といって、神戸の北にあたる六甲山から高槻まで綺麗に一直線を描く活断層があるとかで、震源地から距離がある割には揺れが強かった地域にあたります(ちなみに二○十八年の高槻地震もまさにその活断層)。

阪神淡路の朝も、マンションの六階にある我が実家、激しく揺れたそうです。姉たちがもし真っ当な大学生で賭けなんちゃらをせずに大人しく布団で寝ていたら。あとから部屋を確認すると、まさに布団の上に家具類が倒れこんでいて、下敷きになっていたかもしれないと青ざめたんだそうです。

そんな姉たちです。そして私は私で東日本大震災以降、福島は相馬市の皆さんから防災意識を身近にしてもらっています。ここ最近、非常用バッグについての会話が家族LINEで飛び交っています。とにかく自宅に帰ってこれさえしたら必要なものがある状態にしよう、と。避難しないといけなくなった時のための非常用カバンについて。

これだけ災害大国である日本全国ですが、みなさんはどのくらいご用意があるのでしょうか。調べてみました。いくつかのアンケートや時期がありましたが、どれをみても大体同じ数字でした。非常用持ち出し袋の準備をしている家庭は、三割前後だそうです。そして備蓄がある家庭は五割前後にとどまるそうです。

阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震、新潟県中越地震、北海道胆振東部地震、大阪北部地震。ここ数年で記憶にある震災だけでも日本全国で起きているのに。水害や停電などを入れたらもうキリがないほどなのに。ちょっと驚きました。一番身近にできる防災を実行していない人がこんなにいるのか、と。いろんな事情があるとはいえ非常時に他人に世話をしてもらう前提で暮らしている人たちが事実として結構多いのだなと。

高齢の方々ほど、備蓄や冬なら特に防寒具が命を守ることに直結するから絶対に物資は必要です。子どもや赤ちゃんなど特別なニーズがある人たちは目下必要になるオムツやミルクでしょうか。

そして、それ以外の人たち。健康で若くて動く体がある人たち。自分も含みますが、私たちは、自分の備えさえしっかりしていれば、必要になったら人を補助する立場にもなれる存在のはず。ってまあそこまで考えなくてもいいにしても、せめて自分のことぐらいは、と思うのが当たり前の私にとってはちょっとびっくりの数字でした。

自治体がしっかり準備しているから、いざとなっても大丈夫って思っているのかな?でも確かに、それも、本当にそうだといいですね。

友人が蓄電機とソーラーパネルを買いました。いざとなったら充電しにきて!と言ってくれています。普段はキャンプ用品としても使い勝手がいいとか。私も今一番欲しいものは蓄電機とソーラーパネルのセットです。家族みんなで一個買っておきたいくらい。

でも、その友人は素直な気持ちを話していました。

「自分の家族のことばっかり考えてて。なんか自分たちだけが助かりたいみたいで、いけないのかな」

「そのおかげで、あなたの家族が必要とするはずだった食料、水、電気。その分が他の人に回ると思えばいいんじゃないかしらん。自分のことをみんながもっと大事に考えたらいいんだよ」

と、そんな会話になりました。

英語で「オーナーシップ」という言葉があります。これはネイビーシールズみたいな軍の特殊部隊などが使う言葉でもあります。極端な例だし戦争の話なんて比較対象にもしたくないけれども、あくまでも例として。

戦地におもむく特殊部隊の話。「ヘリが来るっていってたのに!来ないから食料がなくて死んじゃうよ!」という精神で隊を率いるチームに入りたい人はいないと思います。

ネイビーシールズの隊長は、医療、食料、通信、それぞれに担当させる部下を配置する場合も、すべてのギアを自ら確認するんだそうです。部下を信頼していないわけじゃない。けれど、自分と全員の命を守るためには必要な手順だそうです。命に責任を持つためのこのやり方、この精神。オウナーシップと言います。日本らしくはないのかもしれません。でも私は性が合います。自分で成功を(この場合は命を守ることを)、最大限コントロールできるという考え方です。

例えば仕事のプロジェクトやイベントを作るにしても同じです。何かを頼みっぱなしにして確認しない担当者などは、オウナーシップに欠けると考えられ、その人の能力のなさと評価されます。

いずれもチームの例になりましたが、そうじゃなくても、自分の命に対する隊長は自分だという考え方がオウナーシップです。

いちから他人に面倒を見てもらう前提で暮らしている六割の人を残りがサポートしないといけない国。逆に、三割を残りでより質良くサポートする国。私は後者に住みたい。

そもそも、いくら非常用袋があったって本当に役に立つのか、それ以上に何が起こってしまうのかもわからない、それが災害というものです。備えておくにこしたことはない。防災のアクションは、過去の災害で亡くなった方々に対する礼儀でもあります。

南海トラフ、来るって言いますね。いつかは。つか、近いうちに。日本全国みなさんどうか!自分で命を守る準備、されてる方もされてない方も、ぜひ近いうちに一度見直してみてください。私もライブが落ち着いたら非常用袋をカスタマイズする予定です。

 

参考までにうちの非常用バッグの中身です。一緒の避難所になる人がいたら、よろしくお願いします。ちっちゃい子のベビーシッターくらいはできるかなーと思ってハーモニカ入れてあっから。あと追加するといいものがあったらぜひツイッターででも教えてください!

■ZIPLOC1 ギア

手回しラジオ/電池各種/iPhone充電ケーブル/チャージャー/ミニノートとペン/油性ペン/懐中電灯/ライター/キャンドル/ハーモニカ/お裁縫道具

■ZIPLOC2 生活用品

コンタクト/生理用品/石鹸/シャンプー/スポンジ/歯ブラシ/洗剤/ボディシート/タオル/靴下/下着/薬セットと熱冷まシート

■ZIPLOC3 防寒具

ブランケット/カイロ/アルミシート/アルミシュラフ

■ZIPLOC4 お道具類

トイレットペーパー2/簡易トイレ/軍手/荷造り紐/養生テープ/ゴミ袋70L/エコバッグ

■その他

身分証明書(古いプラスチックの診察券など)/家族の写真/ホイッスル

■食料

水/カロリーメイト/チョコ/飴、他

■ペットの避難

餌/ペットシート/ハーネス他


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