LOVEのひろいばなし Vol.83「〇〇の気持ち」

新年、明けましておめでとうございます。
新年最初のひろいばなしの読み方、本日のコツを伝授します。「〇〇の気持ち」が出てくるところを脳内スローモーションで再生して読んでください。無駄にMVみたいになります。
二○二二年の大晦日は、年越しの十五分前に帰宅した私です。布袋寅泰さんライブの大阪城ホールを終えて、ステージのハイヒール以降、ミニヴァン、新幹線、共にバッキングボーカルを務めた露崎さんの車、とひたすら乗り物に乗りつづけ(ええそうです、ハイヒールも乗り物です)、やっと家について靴を脱いで、玄関マットに触れた時の、足裏の気持ち。(はい、ここで、足裏をスロー再生です…ペタ…リ…)
荷を下ろし、我が家の同居うさぎに餌をやり、野菜をやり、神棚の水を替え、ひと息ついたときにはもう零時のカウントダウンでした。三、二、一、ハッピーニューイヤー!の瞬間、一人だったのは久しぶりです。
いや、厳密には、一人&一匹。
うちのうさぎ、なぜかその瞬間、大暴れいたしました。ケージから放たれた解放感、といってもいつもそこまで暴れるわけでもないくせに。
「俺の年やどーーー!」と、今年が卯年だということを理解していたのでしょうか。そんなことってありうるのでしょうか。真相はわかりませんが、とにかくうさぎが大暴れしてスタートする卯年を経験するのは私も初めてです。なんというか、感慨深いものがありました。即逃げられましたけども、「おおお、ホンモノ、本格的やな、君」と背中を撫でてやったときの、手のひらの気持ち(はい、ここもスロー、うさぎの毛並みに…ゆっくりと手のひらが…)。
年末、一日をフルで使って大掃除したお部屋はぴかぴかでした。洗濯物もやり切りました。ベッドも綺麗。お風呂もピカピカ。そのまま寝ても良かったのですが、家族恒例の行事なので参加しないのが惜しくなってしまい、姉1テリトリーの氏神様へ、初詣お参りに行くことにしました。
チャリで。
わかっていただけますか。
よりによって布袋さんです、ビーマイベイビーです。ポイズンです。大阪城ホールで二時間。自分のライブ以上に踊りました。手を高く上げて煽りまくって、ハイヒールブーツで踊り尽くしました。大晦日、布袋さんも初日以上にキレキレで素晴らしいライブでしたので、本当に感動してしまい、本番中は体の感覚などなくなりました。そのくらい集中して素晴らしい時間を終えました。からの東京まで戻ってきて、また出かけ、チャリのブレーキ外す時のふくらはぎの気持ち。「オイまじかよ」と言わんばかりの。(が…ちゃ…ん、自転車…動き出して…ふくらはぎ…モリっと…)
もうタクシーもいなくなった深夜の国道、片道30分ほどの距離をチャリで爆走いたしまして、姉1と母に合流。八幡様の参拝者の列に並びます。で、チャリで爆走していた間にマスクが完全に湿っておりますから、いったん外します。新鮮な二○二三年の空気にさらされた、口の周りの皮膚の自由たるや!息してるのは口なのに、顔下半分の表面全部が呼吸しているかのような、冷たい空気にさらされた口の周りの、自由を手にした皮膚の気持ち。(白い息…背景に…神社の焚き火…ゆらり…)
私は、毎年ここでは必ず姉1とその息子のことだけをお祈りして最初のおみくじを引きます。指が乾燥して、おみくじが開けません。しゅるしゅると指の間を滑っていきます。自分のことを願わないからか、なぜか毎年「大吉」をいただきます。姉自身は小吉だか末吉だかを引いており、「しょうもな」と言い放っておりました。「おみくじにしょうもなとか言うな」とツッコんでおきました。「しょうもない」おみくじはくくって帰ることにするんだそうです。境内の紐に姉がくくったおみくじに胸の中で「ありがとうね」と声をかけておきました。
姉と母もチャリで来ていました。帰りは、もう誰もいない住宅街の道を、自転車ギャングスターのように三人で並んで漕ぎました。私の手袋は指あきなので、先っぽだけがカンカンに冷たくなっていました。途中の交差点で母は帰宅するといい、ここでバイバイ。元気でな、二〇二三も達者でよろしくな、と思いながら、グリップを握った指先の気持ち(背景に…セブンイレブン…)。同時に、冷たい風にさらされて、おでこにまとわりつく大量のアホ毛の気持ち(チャリで走るほどに…電灯の下で…舞う…)。
私は姉と一緒に姉宅へ戻り、暖かい年越しそばをご馳走になることにしました。ダイニングテーブルに着くと、起きていた甥っ子も一緒に「食べるー」といって部屋から出てきました。大きくなって。もう十五歳です。暖かいのがいい、と二人でリクエスト。しばらくすると、湯気が立ったそばが出てきました。冷え切った体に一口目のだし汁をすすったときのぬくもりったらありません。
喉の気持ち。
胃の気持ち。
一気にゆるむ全身の気持ち。
麺をすする唇の気持ち。
思わず目を瞑ってそばを味わった瞬間のまぶたの気持ち。
(すべてが…湯気に…包まれている…身体中の細胞が…そばだけを…感じて…やっと…年を越したのである…)
ぐびぐびとだし汁を飲み干し、ダン!とお椀を置きまして、私、立ち上がりました。
「ごちそうさまでした!!このままウダウダしてると絶対すぐエンジン切れて寝落ちするんで、即帰ります!!ことよろで!!」
以降、二度と椅子に座ることなく、甥っ子にあげるお年玉にプチ手紙を書いて入れ、渡し、姉宅を後にしました。エレベーターを降りて、チャリ置き場まで戻り、鍵を回し。
さあ、これが今夜最後の乗り物です。
あとは帰り道の二十分だけ。
わかっちゃあいたけど、この瞬間が一番しんどい。
チャリのブレーキを外し、押してチャリ置き場を出て、チャリを跨ぎ、赤信号が青信号に変わるのを待ち。やっと帰路につく今、漕ぎ始めの瞬間の、ふくらはぎの気持ち!(が…ちゃ…ん、自転車…動き出して…ふくらはぎ…もう無理…)
そして再度帰宅して、靴を脱いだ時の、足裏の気持ちィ…
風呂がやっと溜まり、いよいよ靴下を脱いだ時の、足首の気持ちィィィィ…
二○二二年を洗い流そうと、湯船に浸かった瞬間の、全身の気持ちィィィィィェェェ!!!
(スローーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー再生ーーーーーーーーーィィィ……)
これが私の大晦日の全貌です。そこから泥のような眠りにつき、自動マシンのように起きて生放送に行き、当たり前のような日常を数日こなして、一月四日の木曜日にやっとお正月休みのような日を迎えました。そしたらコロナじゃなくて良かったですけど、やっぱり微熱を出して爆睡しつづけました。十七時間寝て、起きて、またすぐ八時間寝ました。体ってすごい。使えば使うだけ頑張ってくれるけど、そのあとやっぱり「休ませろ」って言うんですね。で、気づいたら今年最初のメルマガ、金曜日に間に合ってませんでした。大変、申し訳ございませんでした。
今年もマイペースな私で恐縮です、頑張ります。お付き合いくださいませ。
卯年は「飛躍、跳躍」とはいいますけども、引き続き体が資本でございます、全ての筋肉が活躍するその瞬間をスロー再生しながら、一瞬一瞬を噛み締めてまた三六五日、皆様と共に太陽を一周したいと思っております。今年も何卒よろしくお願いいたします。

「新年から待たせた上に何を読ませるんだよ」と。
ええ、私の体のパーツ、筋肉の気持ちをお伝えしてみようかと。
今年こんなで大丈夫かなとご心配をくださった皆様。
そうだよね。普通に布袋さんのライブの裏側とか書けば良かったのかな。何かいていこうかな。このメルマガもネタ集めの日々ですが、我ながらようこんなにしょうもないことを書きよるなと思う回もございますが、今年も何卒!ぜひとも、メルマガのネタに書いて欲しいことは随時こっそり教えてください。ネタ、めっちゃあるはずなんですけど、ない気もするんです。こんなん書いて、と言ってもらうと書きやすいんです。よろしゅうに!