LOVEのひろいばなし Vol.77「へなちょこディフェンダー」

W杯が始まりました。初戦、日本vs ドイツ、強豪相手にまさかの逆転勝ち。テンションが俄然上がった私です。これはもうぜひ上位まで攻め込んでいただきたいW杯。がんばれ、日本。

我が母校の部活制度は、シーズン制でした。冬季のみではありましたが、私は中学三年間、女子サッカー部に参加しておりました。

と、四年に一度ラジオで言うたびに「まじでー!?初めて聞いたよ!知らなかった!!きゃきゃきゃ!」とものすごいナイスリアクションで驚いてくれる、すでに十三年ほどご一緒させていただいているヘッドディレクターM氏、五十代。今日の時点ですでにまた四年後のリアクションが楽しみです。

当時はまだまだ女子サッカー人口は少なかった頃だと思います。私がサッカーをやろうと思ったのは、一人の友人がきっかけです。

ひとつかふたつ上の学年の子だったとおもいます。黒く美しい髪がつやつやのアジアンビューティ、名をアリアといいます。バイオリンはファーストバイオリンの席に座っていた彼女ですが、スポーツも万能でした。そして何より、やたら色っぽい人でした。なんだか彼女が歩くと、ぷりんぷりん、と音がしそうな。

ギャルはギャルでも海外仕込みのギャルといいますか、もしくはお嬢様だったのか、ギャルスタイルの解釈が独特な人でした。あげ底サンダルはいて、頭にはいつもネオン色の何かが、そしてカバンにはハイビスカスなどがついているのですが、どうも日本のギャルには見えない。高校生以降はスカートの上から毎日カラフルなTバックの線をちら見せしながら、大きな教科書を抱えて彼氏の腕に抱かれながら廊下を歩いていました。

そんなアリアが、すべてのギャル要素を脱ぎ捨てた時のギャップがすごかったのです。

髪を振り乱しながらフィールドを走り抜け、ドリブルで相手のディフェンスを抜いていく姿など。超かっこいい。そして、早い。リフティングもうまい。そのうえロッカールームでは後輩の私たちにも優しかったです。

後にアリアが色っぽくなりすぎて「学校に何着て来とんねん」と突っ込まざるをえなくなった時期も、私にはあの中学サッカー部当時の彼女の姿がいつも重なって見えておりましたので、どこかリスペクトがありました。

アリアはエースのフォワードでした。もちろんきっちりお化粧はしていましたが、サッカーのユニフォームに着替えると、シンガードをつけてハイソックスでびしっと決め、スパイクを締めてはいて、フィールドに出ていきます。試合中はポニーテールを揺らしてボールをコントロールし、パスが回ってきたらすかさず相手のゴール前に切り込んでいく。その間、目元はキラキラ、髪はサラサラ。

一方、中一の私など、へなちょこのちんちくりんです。致命的なことですが、入部した後「シュートができない」というハンデに気づきます。とにかくシュートが決まらない。なんで。シュートするという感覚がとにかく掴めない。ゴール前に行くと、ビビってパニックが。

当時学年で一番背が小さかった私はガリガリのチビでしたので、校舎の上からみていたら面白かったでしょうね。ひょこひょこ走る少女がゴール前でフラフラと躊躇したあげく、スカっとふらついて、かすったボールがコロコロ。即座に相手チームにボール奪われ形勢が変わるときの、ベンチのオーラが怖い。軽切れしながら落胆される、あのオーラが。

というわけでディフェンスに回されました。いいぞ。オフサイドだけ、うまく考えろ。すばしっこくボールを狙え。体当たりでぶつかっていけ。ここは吉本のなんば花月だと思え。島田珠世になれ。そして舞台の端にぶっ飛ばされていくあのスピードで走れ(分からない方は、すみません、90年代の新喜劇をご参照ください)。

一番のライバルチームは、我らが大阪のインターナショナルスクールよりもはるかに外国人率の高いカナディアンアカデミーという神戸のインターナショナルスクールでした。白人系とインド人系の比率が多かった気がします。

インターナショナルスクールってやつは、いわゆる日本の文部省認可の高校卒業課程とはまた違う要素があるので、たとえば甲子園ですとか、県大会ですとか、そういうものには参加できません。試合といえば、日本中にあるインターナショナルスクール同士のトーナメント、もしくは他国のアジアインターナショナル同士のアジアカップになります。

もうね。そうするとね。でかいわけ。

骨格が太い軍団、怖いわけ。

別に人種だけでどうこう怖い理由はないのですが、高校生にもなると如実に体格が変わってきます。

例えば男子バレーボールだったら「あなたすでにこども3人ぐらいいるでしょ」ってぐらい年上にみえる生徒が、手をあげるだけでネットから腕がたっぷり出るわけです。ジャンプもせずにブロックされたりして。もうね、メゲるったらない。

男子バスケだったら、ドリブルの技術などはさておいても、胸板の厚さがもう明らかにちがうシルベスター・スタローンみたいな選手がぶつかってきたりします。とにかく一回「マジでなんやねん」とこぼしたくなる。中東系の生徒はターバンの分だけ視界を遮るし、髭もめちゃくちゃ立派だったりするので色々見慣れない要素に圧倒されやすい。

で、女子サッカーになると、体格はもちろんなんですが「イケてる」かどうかみたいなレベルも高いのです。アリアと同じくらい髪の毛サラサラのお化粧選手がいっぱいいて、「いや、みなさん発育早くないですか」っていうナイスバディーで超アグレッシブにこちらに向かってきたりするわけです。反射的に「すいませんっ」って言いそうになる。

まあ、中学生だとそれでもみんな可愛いものなのですが、とにかく中でも私は小さかったものですから。入学当時、百三八センチ、瓶底メガネ。ビビりだし、細いわ、へちょいわ、もう一回いいますけど、シュートできないわ。

ですから、先日の W 杯初戦を見ている時も「もうあんたたちどんだけでかいのよ」と必然的に思い出してしまうわけです。外国人選手と何か試合したことある人、どのくらいいらっしゃいます?

ディフェンスしてやる!と突撃しにいったはずが、相手選手に近づくにつれて影が上から落ちてくるんですよ。おやおや?懐に入ってる?っていう。名古屋駅に聳え立つナナちゃんの下をくぐりにいく時みたいなあの気持ち。伝わります?

ですから、これは致し方ないのです。私は中学一年生のへなちょこ女子サッカー部員の気持ちで、ごく個人的なコンプレックスを胸に持って。「このやろおおおお(涙)」と日本代表を応援してしまうのです。

今回は、前半はあまりにドイツが優勢に攻めてくるので、あの冬のカナディアンアカデミーのアウェイなフィールドがフラッシュバックいたしました。保護者か先生か知らないけど飛び交う怒号が、ちび!このちび!って聞こえてくると言う幻聴(被害妄想)。

そして後半は、打って変わって最高で!もう浅野選手も堂安選手もみんなアリアに見えてきました。かっこよかった。憧れのフォワードたちよ!逆転勝利なんて、やってくれるじゃないの!帰り道にチームでウェンディーズでチリビーンズ食べて、サイゼリアでフォカッチャ頼んじゃうコースよ!(六甲アイランド線の、アイランドセンター駅の駅前情報になります)

ちなみに私は中学三年のときには、ミッドフィールダーまでポジションを前に進めました。フォワードにナイスパスを出す醍醐味に目覚めたのを覚えています。そしてその間、一年に十センチずつ身長が伸びていたので、体格も互角に。ですからもう何もビビる必要はないのですが、あの日のへなちょこディフェンダー精神が私の根底には根強く存在しています。残念ながら、今でもシュートは決められません。なんで。

さあ、日本代表、どこまでいけるか!楽しみな十二月になりそうです。

 

カタールまで行って現地で応援している人たち、すごいですね!映像にうつるのを見ていて、胸が熱くなりました。ものすごい遠征!

私が他都市でライブをする時に追いかけてきてくれる皆さんも本当にいつもありがとうございます。どうですか、カタールでライブやるとして、どうですか。

ところで、カメラがズームしていくと、日本もドイツも、サッカー選手の体格の良さにびっくりします。誰も小さくないし、誰も細くないし、誰もへなちょこじゃない (当たり前や、国代表や)。みんな、足の筋肉が太い。むっきむき。

ちなみに、すみません。ずっと聞きたくて聞けなかったことが。

選手が倒されてフィールドでごろごろと「痛いです、ファウルとってください」アピールしてる時間帯、お尻がよく見えますよね。カメラがズームインするもんですから。

で、あのお尻の内側の白い生地が透けてるの、どういう作りなんですか。ユニフォームの裏地ですか。それとも、見たまんま、ブリーフですか。もしそうだったら、いやです。白いブリーフ、すごくいやです……(どうでもいい個人的趣味)。

あの真相を知っている方いらっしゃいましたら、こっそりTwitterででも教えてください。


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