LOVEのひろいばなし Vol.54「盛大なるプチ勝訴」

たぶんドン引きされるのは目に見えているので、人前では言わない、言ってこなかった「ストレス発散法、裏・決定版」がございます。
「LOVEさんはストレスをどう発散していますか?」
15年間で、何百回聞かれたかわからないこの質問。いや、バンドデビューから数えたら21年間ですね。
とにかく定番中の定番な質問なので、そないオモロい答えはそうそうないで、というお話を、このひろいばなしVol.14で綴ったことがあります。その時の結論としては、関西弁で言い捨てるとすっきりするよ、でした。
その1「邪魔すんねやったら帰ったらええのになぁ」
その2「なにを眠たいこと言うとんねん」
こちら、引き続き、推奨します。スカッとしますから。ソウルを込めて。
ですが、こちらはあくまでもラジオや雑誌など、パブリックにお答えできる範囲での決定版でした。
逆プロモーションにもなるかもしれない、本音がございます。ちょっとヤバいヤツっぽくなるかもしれないので、できれば内密にお願いします。
「私のストレス発散法、裏・決定版」、それはですね。
判決文を書くことです。 ええ。
はん、けつ、ぶん、です。
……まだ会ったことないんですけど、「嘘!超わかる!!私もそうしてる!!」っていう人いらっしゃったら ツイッターにご一報ください。
ちょっとキモいかもしれませんけど、もうね、致し方ないです。真実ですので。ええ、私、ごくまれに判決文を書くことがあります。
この世の中には、わざわざ人様の税金を使って裁判所で裁かれるほどでもない、でもなんといいますか、心情的に「こんなことがまかりとおっていいのか」レベルのプチ罪ってやつがあると思うのです。
そういうプチ罪に手足が生え、「別にィィィ、法律やぶってないもん」とスキップで目の前を横切っていかれるとき、もうそれはそれは神経を逆撫でされてしまうものでして。
多かれ少なかれ、きっと皆さんもございますでしょう。
「だれか、あいつのプチ罪を裁いてくれ」と思ったこと。
ただ、悲しいのは、最初はそう願った健全な誰かのプチストレスだったものを餌に、いつの間にか1億総裁判官みたいに他人を裁くことを「正義」と勘違いした怪物が育ってしまったこと。ネット上の「炎上」って、いかに多くの人がストレスマネジメントできてないのかという証拠だと私は感じています。
命の時間を削ってでも人を裁きたい欲求不満の人たち。そして、その人数がマーケットに値するほど多いもんだから、「営業努力」という看板のもと特定の誰かを結果吊し上げてしまうことすら包括して正々堂々と存在するメディアが怖い。そういう時代に生きているということがうす気味悪い。
水戸黄門様が今の時代にいらっしゃったら、「もう無理、印籠1個じゃ足りない」っておっしゃっていると思います。
「その愚行、自分が裁判官になったとでもお思いか!」
というわけでね。だったらね。いっそのことまじで架空の裁判官になっちゃってね。自分のPCの中だけで、判決文を書いてみるのはいかがかなっていうね。
ってこれ、たぶんみなさんご想像されるより難しいんですよ。
だって裁判官ですから。恨み節ではいけませんから。
公明正大にいきましょう。
判決文を書き始める前準備として、まず脳内の敏腕弁護士に極限まで被告人を弁護させます。
自分の脳内ながら本気で弁護します。プチ罪にも理由があるから。その人なりに、流れがあるから。時には、意図するところすらあるから。フルフルしながら、とにかく弁護してやります。
ゔああ、腹立つ。ここが1番腹立つ。
続いて、検察には私の言い分を極限まで聞いてもらいます。
なぜ私に皺寄せがくるのか。私への被害のみならず、第三者への悪影響がある場合に責任をとれない人間に限って「責任とります」って言われても。そのボケ具合が耐えられないのです、脳みそツルツルちゃいますか、などなど。ただの悪口も飛び出します。それでいいです。後腐れがないように、とにかくすべてを出しきって、どんなプチ情報も、被告人のプチ罪を検察に立証してもらう材料にしてもらうのです。
えてしてストレスが溜まったり、腹が立っている時って、事態を事前に防ぐことができなかった自分に怒っている場合も多いです。ですので、一応ここで反省点があればそれも全部出します。
例え、反省点が思い浮かばなくても「わーたーくーしーも!いーたーり!まーせーんーで!!」と言っておくといいでしょう。これを言っておけば、一方的に被告人を責めるより裁判官が理解を示してくれるような気がするからです。
そしてやっと、全ての経緯を聞いていた裁判官になりきって、判決文を書くのです。
「判決文
被告人〇〇は、2022年6月○日、どこどこでなになにをするにあたり……」
はいまずは事実の記述。
「その不配慮によりLOVEさんのみならずLOVEさんを愛する人達まで小馬鹿にしたプチ罪、尻拭いを他人にさせたプチ罪....」
続いてプチ罪の記述です。 ここが多ければ多いほど、有罪の立証になるので、しっかり書きましょう。そして、いよいよ、判決の時がやってくるのです。
「……よって、有罪とします。」
はゔあああああああ!!
この一文を書く時のスカッと感といったら!!
有罪決定、ここまでです。
ちなみですが、これ以上、死刑や終身刑などの罰を与えることはしてはいけません。それは違うと思うのです。私は世界を正したいのでも、仕返しをしたいのでもありません。自分のストレスを消すために判決文を書いています。
ただただ有罪が決定されるだけで、驚くほど気分が変わります。
「勝訴!」
背後の傍聴席には、友達や家族がいて、涙を流して喜んでくれたり、「当たり前や!最初からそんなもん有罪や!」などと盛大に囃し立てたりしてくれます。圧倒的味方。嬉しい。
きっとこのあとみんなでファミレスにいって、「勝訴」のプチ旗を立てたオムライスを食べれるんだわ。今日まで私を信じていてくれて、ありがとう。
勝訴後のご飯までしっかり想像しましょう。そして、ふう、と一息ついて、PCを閉じるのです。
はい、急に自分の部屋。
玄関を出たって、フラッシュをたいて駆け寄ってくる記者もいないし、この裁判が行われていることも知っている人はこの世に1人もいないのです。それがまた良いのです。くくく。
ネガティブワードをひとこともネットに吐き出さず、不幸の手紙も送らず、給湯室の悪口大会にも参加せず。できるのですよ。あなたが他人からくらったストレスは、判決を待っています。
公明正大に、やり遂げましょう。
そして、この「ストレス発散法、裏・決定版」にはボーナスがあります。次回、その人と顔を合わせねばならぬ時、あなたは心の中に大きな漢字、2文字を思い浮かべることができます。そして、そこには今まであなたの中にはなかったプチ平和が寄り添っているはずです。
それこそが、あなたにしかわからない、あなただけが大切にできる、誰にも奪えない。盛大なる「プチ勝訴」なのです。

私が判決文をかく、はよっぽどです。別に普段から書いているわけじゃありません、ご安心を。
PCに残ったファイルはどうするの?と聞かれますと。
よく書けた時は充実感があるのでしばらく置いておきます。が、捨てます。最終的にそんなものは視界に入らない方がいい。なるはやで捨てましょう。
ちなみにこの妄想が上手くなると、実際に判決文を書く必要はなくなります。心の中だけでストレスマネジメントがちょっとできるようにもなる。
私にとっての1番のストレスは、「なんか下世話な空気感」です。
私は他人の不幸を面白がる風潮に本当に興味が持てない。でもその空気を食らいやすい。だから近寄らない近づかない、を徹底しております。見たいものより見たくないものが増えたので、テレビも捨てました。
ところが、ときどき私自身がその空気に加担しているんじゃないかと思うことがあります。どこまでがユーモアや表現の自由で、営業努力で。どこからがただの下世話な欲張りなのか。
そういう時はプチ罪を犯した気分になる。
自分にも、ちゃんとプチ有罪判決を下した方が楽になれるときがあるものです。捕まらないプチ犯人のほうが不安で、捕まえてもらったプチ犯人が心が軽くなるのと同じです。自覚したほうが、今後丁寧に仕事をできるはず。
プチ罪のプチ敗訴も、「ストレス発散法・裏決定版」の、さらに裏バージョンとして記しておきます。