LOVEのひろいばなし Vol.34「ジェニロペとダーウィンと私」

いったい、そのお尻はどうやって。

もう、お尻からしてポジティブなんです。空、見上げてますから。とにかく上向き。さすがラティーナだな…いや、これはもはや生まれ持ったラティーナのお尻ポテンシャルだけではない。南米のDNAに甘んじることなき努力の賜物である彼女のそれ(OSHIRI)。

1969年生まれ、驚異の52歳。

ジェニファー・ロペスの話をしています。急に。

もはや同じ人間とは思えなくてもきっとそれで正解です。ハリウッドセレブですもの。とんでもないキャリアと貯蓄と名声を手に入れた、世界でもモンスター級の方ですし。しかし私はあまたいるホモサピエンスの中から、「ジェニファー・ロペス」という種に釘付けなのです。おかしいな、彼女は「ヒト科ヒト属、化粧品のラインをすぐに出しちゃうハリウッドセレブ」という、私があまり得意としない俗な生物でもあるというのに。

プエルトリコ出身、女優であり歌手でもある。どちらでも大成功を収めた彼女の「体」に私は興味がつきないのです。ムキムキだけどむっちりセクシー、激しいダンスでライブもこなせちゃう体力もお見事。

今ではオーディション番組の審査員も務めていらっしゃいますが、ON、OFF、とにかく何やってても愛嬌がある。マドンナもムキムキですごいなとは思うのですが、マドンナのお尻はたぶん鋼です(知らんけど)。一方、ジェニロペは彼女自身がとにかく笑顔がキュートな方で、愛嬌がある。もはやお尻すら笑顔。笑ってる感じがする。人生を楽しんでそうなのです。

「あんた、ジェ二ロペの何知ってんの」

ええ、当然ながら、微塵も知りません、調べたこともありません。ゴシップにも興味がありません。ただ茫洋とインスタグラムを見ております。

忘れた頃にタイムラインに流れてくる、ショーの裏側ですとか、なんの記念か知りませんけどクルーズ船の甲板で披露されているとんでもなく見事なビキニ姿ですとか。波打ち際でショートパンツでンゴロンゴロしているMVのダイジェスト、金ピカの自宅バスルームで繰り広げられるスキンケアなど、見せられるがままにただ見ております。どんな気持ちでって…。

すべての生物種が共通の祖先から長い時間をかけて進化したという説を「進化論」といいますね。それを唱えたダーウィン。もし彼が2022年に生きていたら、彼もインスタグラムでジェニロペを観察していたに違いない。

まさか鳥の先祖が恐竜だったなんて!と同じ。まさか猿の子孫がジェニロペだなんて!そんな気持ちで眺めております。

すでに下らない気配しかしない、今日のひろいばなし。

しかし私の隣に座っているダーウィン(幻)と会話をしていると、ジェニロペの凄さがわかります。というのも、鳥類は8000万年かけて徐々に恐竜から進化したと言われています。一方、ジェニロペという個体は、ほぼ人生一回分であそこ(OSHIRI)まで進化しているのです。

彼女はプエルトリコ出身の両親のもと、3姉妹の次女として生まれます。5歳から歌とダンスのレッスンを受け、高校卒業後、法律事務所で働きながらレッスンを欠かすことなく、ある日コメディ番組に出演。ジャネット・ジャクソンのバックダンサーなども経て、95年、25歳の時に映画デビュー。28歳で女優業をいったんお休みして歌手デビューしたらしたで大ヒット。その後、女優業に復帰したのち、映画「ウェディングプランナー」「メイドインマンハッタン」あたりで、はたちそこそこだった私の一人暮らしの家のテレビの中に現れて世にもキュートなラティーナスマイルを振り撒くのです。

さて、命題は「果たしてこの先私は一度でもあのように進化できるのか」です。

恐竜の祖先は、遠い昔、まず水陸両方で生きることができる「両生類」となり、次に爬虫類と哺乳類に分かれました。何らかの必要に駆られて「尻尾が切れてもまた生えてやるぅ〜」と左に進んだ最初のアダムと、「お乳でこどもを育ててやるぅ〜」といって右に進んだ最初のイブの、それぞれの決断があったそうです。

種としての、環境への適応。

個としての、決断と遂行。

ジェニロペには、その両方があったのです。

幼い頃からのレッスンへの適応、ブレることなく進んだ成功への道。その先で、50代を迎えた今、あの見事なお尻へと進化したのは、種としても個としても必然だったに違いありません。

人に見られる環境(職業)に適応してきたジェニロペ。そして、いくらどえらい値の張るパーソナルトレーナーをつけることができたにしても最終的には本人が頑張らずにお尻が育つわけじゃないですから、トレーニングを遂行したのはご本人。

ほら、こう考えると、私だって。

今からだって。

あと10年くらいで。

やろうと思えばできないことはないはずで$#$!鳥&♪%☆?”!♭●猿!$♭$尻×××××。

さて、今、私は小麦と砂糖を絶っています。

愛しの焼きそば、大好きなドーナツ、愛すべきクロワッサン、パン、パスタ、うどん、そうめん。ってほとんどの麺類、アウトです。ほとんどのサクふわ、アウトです。

そして筋トレを…まだ始めてはいませんが、完璧なイメトレをしています。それは、一回LOVEさんの体から幽体離脱して、ジェニロペの体に乗り移って日曜日の朝に目覚めるというイメージングです。

スワロフスキーのみっちり貼られたギラギラのタンブラーでプロテインを飲み、ランニングへ。金ピカのバスルームでシャワーを浴びて、バスローブでムキムキ&ムチムチの体を包みます。午後はビキニでプエルトリコの海へクルージングです。走れるんだろうなあ。踊れるんだろうなあ。気持ちいいんだろうなあ。

成功の鍵はイメージングだそうです。

山手線の車内でインスタグラムを見て、渋谷駅の階段を恨めしく登りながら、そんなイメトレをしています。ふう、はあ。

 

17だか18だかの頃に好きだった男子に言われたことがあります。

「えー、あなたジェニファーロペスに存在が似てるじゃない!」

存在が、似てる。

まじか。

まあもちろん私アジア人だから。

顔とか体型じゃないのはわかってるけど。

存在って。

まじか…(へら)。

と、嬉しくなっちまいまして。あのときのあの言葉が私に火をつけたせいで、今でも私はジェニロペに固執しているのでは、と書きながら思い出した次第です。

それまでの私はジェニロペの何がいいんだかよくわからず、音楽にも映画にもピンときてなかったのですが。その男子がいうには、パブリックイメージより庶民的でキュートなところがいい、みたいなことだった気が (また…へら)。

まあこういうのって、人に言われて意識しちゃった以降、映画をみちゃあ「うわー、泣いてても可愛いなこの人」とか「ちょっとー、ラティーナだからってメイドin マンハッタンって企画はあかんのでは…いややっぱりどえらい可愛いな」などと無駄にジェニロペの肩を持ち、ポジティブコメントを繰り返してきた私です。お許しください。

あれからずいぶん時は経ちました。進化の過程において、私はジェニロペに近づいたのか遠のいたのか。いや、実のところはどうだっていいのですが、ただ、今回久しぶりに思い出して、

「ほんまか…(へら)」

ってまたなりました。お尻については気長に進化させようと思います。


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