LOVEのひろいばなし Vol.26「デートするなら〇〇人」

2021年ですよ、何を言っているんですか。国籍でくくってモノをいうなんて、国際常識として、人として、あり得ませんからね。なんと教養のない。

ただし。

こと恋愛トークにおいては別のようです。

オランダ生まれオランダ育ちのオランダ人で、ドイツはベルリン在住の友人がいます。

美しく黒い肌、筋肉と脂肪がジャストバランスなスレンダーさ、色っぽさ。何より、美しい身のこなし。社会人でありつつ、時に頼まれてモデルの仕事もやっているそうです。往年の女優さんのようにオシャレで、エレガントでクラシカルなものが大好き。いつでもワンピースとハイヒールです。話し方もゆっくりで、わざわざ人に愛嬌を振りまいたりしません。でも、決して偉そうでもありません。名をローリといいます。

同い年ながら、この人ほどセルフ・コンフィデンスのマスターはいないなと思う女性です。人生の話、恋愛の話、仕事の話。何の話をしていても、必ず最終的に「あなたは自分に自信を持てている?」と聞かれます。

「他人のことなどどうでもいいの。自分の欲しいモノをよく自覚して、自分を磨いたり自信を培ったり、自身に集中なさい」というようなことを折々ふれて思い出させてくれるのです。

‘’Focus on yourself.’’

年上の男性と早く結婚し、古風な嫁として長きにわたり夫を支えてきた経歴を持つ彼女。今は離婚して独身だけれど、しみったれたところも尖った意地悪さの1点もありません。優雅に人生を満喫しています。

男の子にふられた別の女友達にも「別れ際にぎゃあぎゃあ騒ぐ男のどこが大人なの。そんな相手の話より、あなたはあなたの足で立てているの?自分のことを幸せにできるの? Focus on yourself」と、優しい女優のトーンで問い詰めます。

「…ほう。どうでしょう。ちょっと自分と相談してきます」

今までも片っ端から女の子たちが目を覚ましていくのを近くで見てきました。私もそのうちの一人です。もともとは元彼の親友として出会いましたが、今では私の方が近しくなっちゃったパターンです。いちど来日した際にはうちに泊まっていきました。

さて、そんなローリは、彼女が長年暮らしているベルリンという街がいかに誠実な恋愛に向いていないかを嘆いてらっしゃいます。恋多き街、といえばロマンチックだけれど、なんていうか、カジュアルすぎるのよね、と。出会った頃から、ずっといってます、「ドイツ人の男性、とくにベルリン男子は。だから嫌なのよね」と。

その1:シャワーをあまり浴びない。なんかボサボサらしい。

その2:共感能力に欠ける。とにかく冷たい。

その3:絶対にデートでご馳走しない。(女性の方が侮辱された、と思う文化らしい)

その4:昔付き合った女性の話をし続ける。

その5:女性に優しくされることに慣れておらず、当たり前の親切心を受け取らなくて面倒くさい。

ひどいいわれようですけど…いますか、あなたの周りのベルリンの男性がいたとして、もしその1が本当なら、きつい。シャワーは毎日浴びて…。

まあ私はベルリンに住んだこともなければ、ドイツ人の男性の友人もいないので、よく具合がわかりません。人によるんじゃないのと思いつつも、どうやらベルリン女子の間ではまあまあ常識らしい。(注釈として、ドイツ国外で育ったドイツ人なら大丈夫らしい、よくわからぬ)

「パース」「パース」と、ひたすらドイツ人を避けてきたらしいローリ。

ところが、とうとうこの間、久々にドイツ人に誘われてしばらくデートしてみたんだけど、と連絡がきました。え、すごいじゃん!!シャワー浴びる人だったの?

職場のパーティで見かけた男性が明らかにこっちを目で追いかけてくるので、はいなと背中だけを見せ続け。 彼が彼女に連絡をとるために入れたビジネス系のアプリを、言葉を交わす前から自然と課金させ。 連絡が来ても「そうでしたっけ、お会いしたかしら?黒いシャツを着てらした?」とピンクのシャツを着ていたことを知っていつつも、あしらい。

気軽に話しかけさせない、ということは大事なんだそうです。「暇なだけの男を引き寄せても仕方がないでしょう。私に興味があって、話しかける勇気がある男かどうか」をふるいにかける方法だそうです。

獅子座のメスライオン。おお、ライオネス。

人に目で追いかけられるとその時点で違和感があって「えっと、何か御用で?」と自分から的外れに聞いてしまいそうな私からすると異次元です。

ヨーロッパ人には珍しく4回目のデートでも手を出してこないばかりか、延々と「その4:昔付き合った女性の話をし続ける」がエスカレートしたらしく、やっぱりなんだか虚しくなってお断りしたわ、とのこと。思わず心配してしまいました。

「大丈夫?最初はいい感じだったのに、その分、悲しくなってない?」

この質問へのお返事も秀逸でした。

「まさか。恋に落ちてないもの、悲しいわけがないわ。大人になりきれていない男には私のかけらも似合わないでしょう?」

トーン、無理してませんから、これ。普通にさらーっといえるんですから。心配した私が野暮でした。「自信って、こういう風に作用するんですね、先生、覚えておきます」ってなりました。

「どこかの母親が育てきれなかった息子をどうして私が育てなきゃいけないの。自分の子でもないのに。女もそうであるように、男だって男自身で大人の男になろうと努力するべきよ。過去の女の話なんて野暮なことする大人の男がどこにいるのよ。そんなものでアピールするなんて。そもそも私に憧れている時点で釣り合うはずがなかったわね。静かに去るのみよ」

おお、ライオネス。ドイツ人じゃなくても、私が男性だったら、ぐうの音も出なくなりそう。

で、あなたは〇〇人が苦手ってあるの?と聞かれたので、正直にお答えしてしまいました。口にしてごめんなさい、とにかくイタリア人と韓国人の男性が苦手です、逃げ出したくなります、と。

友人ならいい、全然いい。ただもうこれはね、イタリア人と韓国人のみなさんごめんなさいよ。差別じゃないんです、気の合う人に会ってないだけかもしれないけれども、気配の問題っていうかキャパの問題なんです。

イタリアンは本当に大好きなんですが、とりあえず1回以上デートしたいと思えたイタリア人がいないだけかも。マンマ(おかん)好きすぎ、もしくはマンマが偉大すぎ。あと母国イタリアを好きすぎ。俺たちコーヒー発明したっていい過ぎ。最初のデートから、ミラノのオトンと急に電話して私に話させようとしたり、ガールフレンドになってもないのにずいぶん手前から嫁扱いしすぎ。自分の話と、「パスタの形のバリエーションいくつあると思う?」って話しすぎ。あと、ちょっとお怒りになって話す時、テーブルに指トントンしすぎ。WHY!? イタリアンピーポー!身振り手振り、情報量、多すぎて目がついていかない。チカチカする。ちょっと落ち着いてってなる。70歳くらいのイタリア人おじいちゃんならいいのかも。

あとコリアンも友人は多い。本当に大好きなんですけども。ただデートになるととりあえず入り口がラブリー過ぎ。少女漫画やドラマみたいにスウィート過ぎて演出が無理。シャイからの強引とか、硬派からの豪華プレゼント、とか。すぐ手をつなぎたがったり、プレゼントあげたがってくれたりとか、一見良さげだけど「え、誕生日でもないのにクリスマスでもないのに、モノ、これは一体なんの?お返しが逆にプレッシャーに…」って私がもう白目向いてビルの影から走って逃げたくなるので、ごめんなさい。あと急なオラオラ「男はどうあるべき」みたいな男論も強め。

お友達コリアンの家に遊びにいくと超楽しいのに。オトンになるとみんな可愛いオヤジさんなのに。なぜデートになると圧があんなに強いの!WHY!? コリアンピーポー!!

…あくまでも私には、です。ほんとこんなこと書いて。大丈夫かしら。

ですが、この話、ローリと話していてふと気づきました。

現地ベルリン系ドイツ人、とか、現地イタリア系イタリア人とか、現地韓国系コリアンとか、現地系なんだよねと共通点を発見。違う国で就職して馴染んでるとか。生まれた国と育った国が違う、とかだったら急にましになるよね。もしかしたら、単一文化ベースを当たり前だと思っている人が苦手なのかもしれないね、と。

同じ国籍同士だとしても他人同士は時に宇宙と宇宙みたいな未知数。だからこそ、文化背景が違ったらなおのこと自分のことをしっかり伝える力も、相手のことを知らないと思う余白も必要だろうし、その上で同じランゲージ(言語というよりマナーや共通項、あとは同じトーン)を持てるかどうか、やっぱり大事なんでしょうね。

だからでしょう、ローリは詰めてきます。私は何を望んでいるの?どんな自分に自信があるの?どう大事に扱って欲しいの?それをあなた自身はわかっているの?Focus on yourself…。

以上、「デートするなら〇〇人…が無理」のお話でした。トリックタイトル。イタリアン料理とコリアン料理、2度と食べるなといわれても仕方ありません。ごめんなさい。食べます。大好きです。

 

ていうか向こうにも選ぶ権利あるやろ!っていうね。日本人の女性だって世界のどこかでなんといわれているやら。「本音と建前なんて意味がわからん、めんどくさ!!」と、大体世界中の人が思っていることでしょう。

あと、日本人の男子ってどうなの、と外国人に聞かれたときはもう細かいニュアンスが難しいので、簡単に「良くも悪くもむっつり精神」「サムライに会えたらラッキー」と答えるようにしています。ヨーロッパ人の女性の場合「むっつりの意味がわからないわ、はっきりすればいいのに」とか「サムライってまだいるの」ってだいたいいわれます。日本人の男性の皆さん、皆さんのイメージに誤解を生んだかもしれません。この場を借りて謝ります。

さて、さんざん〇〇人で括って書いた後でなんなのですが、「エスニックジョーク」というものは、あなたの持つ背景と性格と話術によってニュアンスが天と地ほど変わるものです。私のようなアホ女子話を元に迂闊にご自分のものとして話されますと、あなたの人格が疑われる場合があるので、くれぐれもお気をつけくださいませ。

エスニックジョークというものは、内輪であれば内輪であるほど面白い構図になっています。ロシア人の友達を「おいこらプーチン」と呼んで笑えるかどうか。それはプーチン大統領のこれまでの経歴とロシア近隣諸国の歴史、また最新の情勢を知った上で、プーチンのキャラがピンポイントで友人にジャストフィットした時のみ、そしてあなたと友人が本当に近しい、内輪も内輪のお仲間だった時ではないかしらと思います。

居酒屋で。ロシア人の友達が刺身をとってくれて。しょうゆもまわしてくれて。わさびのっけてくれたんだけどちょっと多すぎるよっていう時に、「おいプーチンおいたが過ぎるよ」って言って笑えるかどうか。これはだいぶブラックだけど、プーチンさんによる歴代毒殺疑惑を、その場の全員が知っているかどうかにかかっています。まあ大体は表向きにはこういうの、絶対アウトですけども。

そういえばですが、今年のノーベル平和賞、ロシアとフィリピンのジャーナリストがダブルで受賞しました。メディア、ジャーナリズムの自由のために。つまり、それが失われつつある今、彼らの健闘にスポットをあてるために、です。

ロシアの新聞「ノーバヤ・ガゼータ」のドミトリー・ムラートフ編集長とフィリピンのインターネットメディア「ラップラー」のマリア・レッサさん。政治家でも国際組織のトップでもない、ジャーナリストたちです。

このロシアの新聞は、政府高官の汚職や環境破壊など、プーチン政権に批判的なスタンスで長年取材を続けてきました。ドミトリーが編集長を務めている23年間で6人のジャーナリストが殺されています。編集部は変わらず激しい恫喝や暴力を受けていますが、彼らはひるむことなく言論の自由を遂行しています。

また、フィリピンのマリアさんは、大統領個人や政権による「権力の乱用」を激しく批判してきた敏腕ジャーナリストです。元アメリカCNNのマニラ支社長でもあります。フィリピンの現デゥテルテ大統領が発足させた「麻薬戦争」は「取締のためなら関係者を殺して良い」という過度なキャンペーン。最初の3年だけで16000〜30000人が殺されています。

国境なき記者団がまとめた「報道の自由度」、1位はノルウェーです。138位フィリピン、150位ロシア。下方を見れば、177位中国、179位北朝鮮と、むしろ彼らに近い。情報統制の恐ろしさがわかるかと思います。(ちなみに日本は67位です)

だからなんです。私は毎年日本人女性がプーチン大統領のカレンダーを「かっこいい」「ハンサム!クール!」だのなんだのいって大量に買い込んでいる姿も、それを微笑ましく報道している夕方のニュースも、これっぽっちも笑えない。今年はもっと売れて欲しくないし、買って欲しくないです。エスニックジョークは無知の上には絶対に成り立ちません。

ロシア人の友達やフィリピン人の友達がみなさんにいるかどうかはわからないけれど、やっぱりまずは、恋愛話でジョークを見つけるのが1番おすすめです。デートするならどうなのロシア男子は?寒いからすぐハグみたいな?ウォッカ一気飲みとかすんの?フィリピン男子は??やっぱカラオケ好きなの?みたいな。

私も実際、根掘り葉掘り聞いてみたいものです。


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