LOVEのひろいばなし Vol.24「ロングスリーパー界」

ベロ出し天才おじさんこと物理学者のアルバート・アインシュタインは、ロングスリーパーだったそうです。毎日必ず10時間寝て、さらには昼寝も欠かさなかったとか。
とある日曜日のことです。
朝が昼になり時計が午後2時をさした頃、やっと起きて最初の水を飲んだ私はふと胸の中で言うのです。
「いやー、アイシュタインと同じ誕生日だからなあ…しかたない。ごくごく」
そんな“とある日曜日”やら“とある土曜日”を、数えきれぬほど迎えている私です。3月14日生まれ、他にも「ああ私もやたら寝るわ」という方、いらっしゃいましたらご一報ください。ともに立証しましょう。これは誕生日とアインシュタインが導く、天才の兆しなのだと。(相対性理論ばりの何かを発見してから言いましょう)
先日、「LOVEさんは時間の使い方が上手だとお見受けしますが」というメールを頂きました。先にそれを読んだ我が社の相談役は、内心へそで茶を沸かしまくっていたと思います。
世の中には睡眠時間が6時間以下でも十分に活動できるショートスリーパーさんと、10時間以上眠るのがデフォルトのロングスリーパーさんと、その間に位置する「え、7、8時間ぐらいがちょうどじゃね??」という普通スリーパーさんがいるそうです。
日本人の割合で言うと、ショートさんが5-8%。ロングさんが3-9%、残りが普通さんだそうです。眠りの質によって、割と変動的だそうですが、私、たぶん、ロングスリーパー寄りなのだと思います。
ちょっと考えてみました。
活動時間を見てみると、ショートさんは1日18時間、ロングさんは1日14時間です。1日あたり4時間もの差があるとは!打ち合わせ2、3本いけちゃう。
1週間で28時間、1日以上もオフタイムが生まれます。1ヶ月なら112時間=4泊5日の台湾旅行ぐらいなら行けちゃう時間です。
もし1ヶ月あたり112時間も追加で時間をもらえるのなら、多分、私の腹筋は6つにパキッと割れ、体は柔軟に開脚します。さらにあともうひと事業、何かしらの副業(今の季節なら石焼き芋の屋台希望)をはじめて、ひと儲けしているはずです。ネットで少し検索しただけでも、出るわ出るわ。
「ショートスリーパーは成功する」
オバマ大統領やデザイナーのトムフォードなども短時間睡眠で成功したそうですし、Twitter創設者など、ビジネスの世界でも割と定説っぽいです。アインシュタイン先生、ごめん。私、こうなったらどうにかしてショートスリーパーになりたい。
…はい、出ました。私の浅はかな思いつきシリーズ。
自分で言いますが、私のすごいところ(及び無駄なところ)は、どんな思いつきでも一旦紙に起こしてみるところです。
ひとまず、日頃の自分の働きっぷりを検証するために、時間割を作成してみることにしました。
私の場合、始業時間や終業時間が決まっているわけではないので、例えば今月はどのくらい働いていたのかなー♪といった具合に改めて見てみると面白い。やはりラジオの生放送がある日とない日で、ぜんぜん違います。また、やる気がある週はブラック企業ばりに働き、ない週は無職ばりに働かない。あるときは日本時間を生きており、あるときはブラジル時間を生きていたりもします。
…すごいムラ。ていうか。私、人生半分ぐらい、世間でいうところのプータローにもなれるんじゃん。急にゾッとしました。ちょっと遊んだつもりが、あっというまに終わっている週もありました。
自転車で半日うろうろしてた日。通りがかりの傘屋で、買わない折り畳み傘を開いたり閉じたりして柄を確認した日。服屋に入ってキャラじゃないコンサバ風女子コスプレ試着遊びをした日。KALDIで端から端までスペイン語の豆の缶詰をみて裏に書いてある工場の住所をGoogle マップで見ていた日…コロナ期間に開発したご近所遊びが私の日本時間をどんどん奪っている週もありました。ていうか無駄すぎる。あなたは何をしているの。
時代が違えば、「畑さ行って土さ耕してごいバカモンが」と一族に言われていたと思います。
ということで、ショートスリーパーを目指す前に、私にはひとつやることがある。まず1週間のルーティンを作ろう。そしてプータロータイムを減らそう。そのために、新たな目標を反映させた時間割を作ろう。
小学校の授業の時間割みたいなものです。近所のオープンヨガ教室の時間も織り交ぜて、何時にご飯を食べるとか、何時になったら必ずPC前に座るとか。アラームも設定してみました。やるとなったらやってやるのです。心を殺して1度自分で決めた通りにできるかどうか、2週間ほどテスト期間を設けてみました。
もともと、寝る前にサプリも飲んでいました。でも、そういうのも気分でしょう。毎日律儀に飲んでいるわけじゃない。だからそれも時間割にちゃんと書いて、見えるところに貼り、毎日規則正しく飲んでみることにしました。
…居心地の良かった我が家は、急に施設と化しました。
ピピピピ…おはようございます。
前日の夜、何時まで仕事をしていようとも、ラジオがない日も午前中に必ず起きて、いったんPCに座ります。気分が乗ろうが乗るまいがギターを触り、キーボードの電源を入れ、数時間練習のような練習でないようなアドリブタイムを過ごします。
また、私のデスク前には大量のポストイットが貼られております。「機材を修理にだす」「〇〇さんにメールする」「お風呂場をオキシ漬けする」など。ひとつづつ TO DOをやりきってはメモを捨てていくことで、積み上げる達成感はきもちいいです。
ただ…徐々にではありましたが、たった2週間で私は完全に機械化しました。ワタシハ、カンペキナ、ジカンワリ人間デス。決メタコトヲ、ヤリキリマス。
ワタシハ今日ハ〇〇ヲガンバリマス。時間通リニ、ヤルノデス…鏡の前の私はうすらほほえんでいます。
作る食事も、何故かわからないけどキャベツばかりになっていきました。茹でキャベツ、蒸しキャベツ、炒めキャベツ、千切りキャベツ、洋風キャベツ、和風キャベツ。
今日ハ、ドノピアスニシヨウカシラ…とピアスを選んでいる時でさえ、楽しみというより、時間割マシンとしてのルーティンになりました。
就寝前、サプリを飲む時には、脳裏に映画「レナードの朝」で列に並んで薬をもらう精神患者たちのシーンが浮かぶようになりました。飲ンダフリヲシテ、舌ノ裏ニ隠シテオイテ、アトデ吐イテミヨウカシラ…ウフフ。
そうして2週間が経った頃の、またとある日曜日のことです。
目覚めたら、西日がもう沈みかけていました。
あれ、8時に目覚ましかけたんだけど。
時計が4時を指しています。 いやいやいや、昨日11時に寝たんだけど。ってことは私、15時間寝てるんだけど。
「いやー、アイシュタインと同じ誕生日だからなあ…しかたない。ごくごく」
…ダン!
もう人生で何十回めかの例のセリフを口にし、水のカップをダイニングテーブルに打ち付けて、はい終了。LOVEさんマシン化プログラムテスト、これにて強制終了です。撤収です。
冷蔵庫に行って、保存用のチョコレートをさっそく食べました。コーヒーを入れ、窓を開け、思いっきり皿洗いを放置し、ネットフリックスをそこから5時間みてダラッダラにポテチも食べてやりました。
そして、「そんなふうに夕方に遅く起きたら寝られないでしょ」とかよく言いますけど、すやすやと10時には就寝しました。赤子のように、です。
申し訳ありません、我が家の女衆、姉1、姉2、全員この能力を持ち合わせております。私たちの遺伝子を顕微鏡で拡大したら「アホほど寝る」って書いてある配列を見つけられると思います。
もしこの遺伝子を持ち合わせた世界中のひとたちで作る「ロングスリーパー界」という社交界があったのなら、我が家の女衆は「僕とダンスを踊ってください」のオファーが後を絶たなかったはずです。そして舞踏会の壁には、やはりアインシュタインのどでかい油絵が額縁に入って飾られていると思います。
いまだに時間割はデスクの前に貼ってあります。半分くらいは守れていますが、半分ぐらいはガン無視しております。そのくらいがちょうどよかったみたいです。ベッドメイキングも続いているし、ピアスを選ぶことは楽しみに戻りました。
人間、得意・不得意があるものです。作曲の波が来たらまたものすごい集中力で朝までデモを作ったりもします。
なんだかんだ、1日中いろんなことをしながらふわふわと脳みそは次のネタを探し続けて働いているのです。はたからみたらサボっているようにしか見えないでしょうけど、カーペットにごろんとして「足の指って見れば見るほど変なやつ」と思っているときだって、頭の片隅で曲にならないかなーと思っていたりもするのです(なりませんよ)。だから、寝られる時には寝たらいいよと自分に言ってやろうと思います。ショートスリーパーサクセスストーリーなんて夢の夢です。
こんな私です、時間がどれほど増えようとも腹筋は割れないし、体はまあまあ堅いままでしょう。そして焼き芋は売るより買いにいってそれをほおばりながら本業をがんばるのだと思います。
ほどほどに健康に。ほどほどに幸せに。ほどほどに挑戦しながら、やるときはやる。これを心がけていこうと思います。
ちなみに家族にちょっとこの「ショートスリーパーになってみたいんだけど」の話をしてみました。食い気味で全員が、目も合わさずに、地球上で1番どうでもよさそうに「はい無理無理無理無理無理」ってハモっておりました。

私の最長睡眠記録、36時間です。20代の前半だったと思います。金曜日の深夜に寝て、起きたら日曜日の午後でした。
36時間、目覚めずに寝たことあります?低体温カプセルで星と星の間を移動する未来の人間の気持ちを仮体験できます。わあ、もう火星に到着してる?みたいな。
目覚めても、一瞬今がいつなのかわからない。外の明かりが、朝なのか夕方なのか。そして、次に感じることは、恐ろしいほどの体の乾きです。節々の動きがカクカクします。あまりの喉の渇きにカクカクプルプルしながら冷蔵庫に這って行き、水をがぶ飲みしました。半笑いで、「あぶない、寝過ぎて死ぬとこだった」って思いました。
で、テレビをつけて、夕方のワイドショーを確認、やっと火星ではなく1日半後の自分の部屋にいることを認識したのを覚えています。
友人のショートスリーパーさんは、朝からジムに行ったり、仕事の前後でなにやら活動をひとつやっていて、それはそれでとても羨ましいなあとやっぱり思います。アクティブで素晴らしい。時間があって、ちゃんと使ってる。
けど、だいたい4-5時間しか寝れないんだよ、と言っていたその友人と最近また話していましたら、いやいやそんなにいいもんじゃないんだよ、と。
「眠いんだよね」
ええ!!眠いの!!ってことはダメじゃん!足りてないんじゃん!
本当のショートスリーパーは、少ない睡眠で十分にアクティブでいられるそうです。この友人はただ単に上手に寝られない人でした。
ということで、ショートスリーパーに成功者が多いからって決して安易に真似したりしないように!ってのもお伝えしておきますね。
ちなみに、寝てる間も元を取りたくないですか。なるべく寝起き直前の5分でいいので、面白い夢とかみたいです。今日の私の夢は、自分が医者になっていて、次々にやってくる患者さんの診断をしていました。患者さんの説明が下手すぎて「鼻が?え、鼻の先?鼻の奥?じゃなくて鼻の横?え、鼻じゃないの?どこがかゆいの」とイラっとするという夢でした。人の話を急かさずちゃんと聞きなさいという教えだと思うことにしました。
けして時間の使い方が上手ではない私です。うっかり何かに集中すると時間の感覚がなくなってしまう癖もあります。だから人に迷惑をかけないようになるべく注意しつつ、時に謝りつつ、ふわふわしながら、ここぞという時には猪突猛進モードを起動するというパターンで生きております。
最近はそれでも少し止まっていた時間の流れが、ほどよく戻ってきた感じがします。楽しいと早い、つまらないと長い。ほんに時間というやつは、こちらの心の鏡のようです。楽しいまま、あっという間に80歳くらいになりたいのです。