LOVEのひろいばなし Vol.135「風土の邪」

「風邪ってのはねえ、もともと風土の邪のことなのよ」

「ふうど?といいますと?」

「その土地の、っていうこと。あのさ、最初のインフルエンザってのが、まあ第一次世界大戦まで遡るんだけど」

え、最初とかあるんだ。そりゃそうか。で、急な歴史の授業、はじまりはじまり。

「カリフォルニアだっけね、第一次世界大戦でヨーロッパ戦線に送られる兵が集められたのね。とにかくリーガルもイリーガルも、ごっちゃまぜでかたっぱしから一箇所にまず集められたわけ」

「はあ」

話をしながら、ゴリゴリ。いや、ちがうな。かける重みを最大限生かし、流れなくなった血流箇所をポンプしているに近い。

いうなれば、ヌンヌン。

本日の舞台、私が通っている仙人整体です。いつものごとく、的確に私の体の癖、詰まる箇所を把握している超人。

停滞した川底に波を起こす要領で、一定のリズムで特定の箇所をポンプされると、徐々に血流が戻ってきます。ある程度までいくと、完全に詰まっていたところが自力でドバッと流れるはじめるのがわかるタイミングがくるのがすごいんです。「あ、抜けた」ってなる。で、それが早いからこの人はすごい。

正月早々から原因が判明せず長引くうちにこじらせてしまっていた「どえらい風邪」、その正体は副鼻腔炎だったわけですが、回復の兆しが見えたタイミングで行ってまいりました。

最近、もはやこれは「整体」ではない気がしています。しっくりくる呼び名が見当たらない。とてもアナログな、体のエンジニアリングに近い気がします。というか、内科的などんな症状もすぐにここに来た方が早く回復するので、先生に伝染すことがないとわかればすぐにでも行きたい。そんなヌンヌン治療です。

さて、話は続きます。

「とにかく全米各地から、ありとあらゆる人が一箇所に集められちゃったもんだからさ、まあいろんな菌をみんなが持ってくるよね。で、カンザスだっけな?アメリカ内部から来たアンディー?とかなんとか?名前忘れちゃったなあ!そいつが最初に風邪ひいてぶっ倒れるんだけど」

もはやなぜ名前までわかるのかがわからないですし、事実確認のしようもないですけども。アンディーや。おまえさんの運命たるや。

「アンディー、そのまんまヨーロッパに送られるの。そしたら現地でその風邪がどんどん流行っちゃって。みんな悪化してバタバタいっちゃうわけ。これ風邪じゃないんじゃないのってなって。原因不明のやばいやつみたいなことになって。ところがさ、当然その辺りにはドイツ軍のスパイも混じってるわけ。当然スパイが結局その菌を持ってかえるから、ドイツでも漏れなく大流行りするのね」

「ほう!それはなんとも皮肉な」

「からの、スペインの高貴な方々にも伝染しちゃいましたってことで、はい”スペイン風邪”、パンデミック〜。インフルエンザね、あれ」

「そうだったんですか」

「まあ当時の世界人口、二十億人にたいして、五億人が感染して五千万人が亡くなっていうんだからそりゃびびったに決まってるよね」

よくまあそんなにつらつらと数字が出てくるもんです。

「で、風邪って“風の邪”って書くでしょ。あれ、もともとは”風土の邪”ってことだけど、その土地の人たちはその土地の菌に免疫を持ってるわけ。ただ、よそから来た者が適応するためには、一回かかって免疫を取得しないといけないの」

ほほう。

「それに耐えうる者が土地に馴染める。耐えられない者はその土地から弾かれる。風邪って、本来は自然淘汰のサイクルの一部なのね。だからラブちゃんはね、正月に行った先で風邪をもらったんなら、その土地と何かしらつながるための試練と力をいただいたってことなわけ。引くべくして、引いたのよ〜コレ」

……ほほう!!!

毎回、すごい視点をぶち込んでくる仙人。

旅先で風邪をもらったことがある人はたくさんいると思います。私も今回が初めてではありません。ですが、それが、自然界があなたと土地を結ぶために課した儀式だと考えたことがある方、いらっしゃいます?物は言いよう、だとしても、目からウロコでした。

あまりに回復しないので、仕事休んで人に迷惑かけて申し訳ない情けない、私としたことが万全でいつも気をつけているのにやはり甘かったのかと自分責め責めモードに入っていたところ。うつむき視点をバキッと前向かせていただきました。

で、体だけじゃないです。本来耳鼻科のお医者様が専門に診るはずの副鼻腔炎ですが、対処してくれました。

顔面のちょうど鼻の両サイド。涙が出るほど痛いです。ゴリゴリとヌンヌンの中間でしばらくポンプされました。でも何がすごいって、滞っていた何かが抜ける瞬間、「あ、解けた」ってわかること。文字通り、鼻に空気が抜けていきました。なんなん。

すでに抗生剤で回復の段階に入っていたからこそ行ったんだけど、この施術直後、メキメキと回復のスピードがあがったのにはやはり驚きました。

はたして、整体とは。

なんなん。

仙人、今週は米と水を積んで富山に行っておられます。「能登からの避難を受け入れている知り合いのペンションが、食べさせる米が足りないらしくて。直接能登いくわけじゃないから大丈夫、ちょっと運んでくるわ!」と。ちょっと、は多分「ちょっと」じゃないです。おそらくトンでしょう。本当にお疲れ様です。

 

FBK、恐るべし。

JFKは、ジョン・F・ケネディ、もしくはNYの空港。

KYKは、「♪とんかつとんかつKYK♪」で関西人にはわかるとんかつ屋。

で!す!が!

FBKは?

おわかりですね、副鼻腔炎です。Fく、B、Kうえん、です。こやつ、本当に恐るべしです。

年末のインフルはもうとっくに完治してるし、コロナでもないし、インフル別型でもないし、アデノウイルスでもないし、溶連菌でもないし、と正月から延々と連日、病院にいけども行けども判明せずでしたが、とうとう顔面痛と歯痛と頭痛と耳痛で、肩から上全部痛くなったのを機に、「わたし孫悟空ですか!金の輪ですか!!涙」と駆け込んだ先でFBKがやっと判明。ああ、ここまでありがとう、医療制度、医療従事者の皆さん。

FBK判明後、先輩方から「あなどるな、やばいぞ、長引くぞ」との御助言がたくさん届くも、すでにやばいし長引いてるしだったのでもはやひたすら寝ることしかできず。ってそれまでも医者行く以外ひたすら寝てましたから、これでもかという寝正月でした。

そういえば、シアトル郊外にて元日の朝の散歩でご来光を見た二日後から、寝っぱなしでした。シアトル観光、ほとんどしてないですね。結局元気なときに先に行った音楽ミュージアムと、近所のスーパマーケットだけっすね。一年に一度の一週間の休み、北米まで行って、なんもしてないっすね。めっちゃ水飲んで、寝たっすね。けど第一目的だった会いたい人は会えた。そのためだけに行った。そして今後のために、その土地に迎えていただいた、と考えることにしようと思いました。

初詣、来週以降、いこうと思います。


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