LOVEのひろいばなし Vol.108「古代出雲ミステリーツアー:前編」

行きたいところがあったら教えておいてと言われましたので、出雲大社にはお礼参りに行きたいと申し上げていたところ。

「じゃあさ、ラヴさんさ。大社いくならついでにいいところがある。なんでここにフェンスないの?なくていいの?っていうすごいとこ。成さんもびっくりなとこ!連れていっちゃろう〜」

そう事前に話には聞いていたものの。

確かに、尋常じゃなかったです。まじで、なんでここにフェンスがないんですか。絶壁も絶壁です。で、はたくん、なぜあなたはそんなに猿のように、軽々とジャンプして行けるのですか。

日本海を望む島根の海岸沿い、出雲大社から車で十五分ほどの日御碕灯台。東洋一(だった)という灯台は、さすがの貫禄で絶崖に立っています。

塗装された遊歩道からはずれても、むきだしの岩肌を歩いていくことができるようになっています。ぴょんぴょんと身軽に移動する、はた。絶壁も絶ペキペキの、ギリギリに立ち、海の方に向かってポーズをとっています。いや、いいから、そんなとこで一回GLAYのモノマネとか挟まなくていいから。それで万が一でも海に放り出されたら、各方面色々洒落にならないでしょうが。

東京事変のドラマーとしては「刄田綴色」。釣り好きの方々などさらなる彼の素性を知る方々は「島根の畑利樹」としてご存知の方も多いでしょう。私にとっては、ファーストツアーから十六年もの長い付き合いの音楽仲間であり友人です。

あるとき「ラヴさんは莫逆の友だね」と言われ、ばくぎゃくってなに?と聞いたら、そこから謎にマニアックな豆知識の会話が止まらなくなり、いまだに私はばくぎゃくが何かよくわからないままです。物知りで、探究心にすぐれ、とにかく恐ろしいほど耳がいい。私にとってはいつも世話になっている先輩でもあり、時には私が仕事上の世話を焼くこともあります。

そんな「はたくん」コーディネートによる島根ライブ。現地でのバンドリハも含めて数日早く現地入りした今回、うち一日は「HATA presents出雲国ツアー」と相成りました。これがまさかの、リアル・古代マジカルミステリーツアーになろうとは!

🕰朝十時、はたくんの地元川本町を出発。地元の名所を巡るうちに大雨。そして徐々に晴れていく。

🕰正午、須佐神社着。 暴風の神とも厄払いの神とも言われますね。天照大御神(アマテラスオオミカミ)の弟である須佐之男命(スサノオノミコト)が御祭神。

やんちゃキャラすぎて、天照姐さんに「お前は天上界に置いておけないから地上におゆき」と追放されちゃったほど。

本日は不安定なお天気です。二人して鳥居をくぐった直後、ぼたぼたと雨が降ってきて、プチ暴風になりました。そしてお参りを済ませ、鳥居を出たらいきなり晴天でした。笑えるね、なんやねん、と。今日は先が長いですから長居はいたしません。

🕰午後二時。出雲そば食べ終えて出雲大社お参り。

私は出雲大社が好きです。雄大なんで。

国造りの神様だからでしょうか。私は毎回、どシンプルに「オッケー、いい国つくろーー!!」とスカッとしたでかい気分になるのです。縁結びの神様として有名ですが、仕事も人生も旅行も全部ご縁あってこそと思えば、「オッケーいい人生つくろー!!」でもいいです。

先程のスサノオさんの六代目の孫に当たる大国主命(オオクニヌシノミコト)が御祭神。創建時期は不明。多分、古代。

🕰午後三時、日御碕灯台。

出雲大社から海沿いのドライブ十五分で到着。

実はこちら、これまで一人で出雲に来た際には行きたくても徒歩では行けなかったスポットでした。超ご機嫌で、駐車場につくなりソフトクリームをキメて、いざ灯台へ。

H「成さんもびっくりだから、マジで」

L「うん」

H「(ハスキー声で)やめなさいっっ、そんなことして、おかあさんがよろこぶとでも思っているんですかっっ」

L「うんうん」

H「らぶさん、ピンときてないでしょ、だから成さんもびっくりなんだってば」

L「は?(それ大事な話だったの?)」

H「やめなさいっっ、ほら、もうやめなさいっっっ」

L「え、何?」

H「平泉成さんだってば」

L「ああああ、崖っぷちでね。最後、犯人で人質とってるときね」

H「やめなさいっっ」

というくだりをひとしきりやったあと、目の前を見たら、それはそれはものすごい絶景が広がっておりました。THE 日本海に向けて、特殊な形状の岩が突き出しています。いやいやいや、この崖の岩の上、整備されてないし、平じゃないし、歩いて大丈夫かっていうくらいゴツゴツしてるし。わたくし、終始へっぴり腰でへばりつき、まったく立ち上がれませんでした。私が犯人なら床を這いつくばっているうちに簡単に逮捕できると思います。

ひとしきり、わあきゃあ楽しんだ我々。イノセントな時間はこのあたりまで。ここからがミステリーツアーの始まりでした。

🕰午後三時半。灯台からすぐ、日御碕神社。

あまり知られていないそうですが、天照大御神には、妹もいるそうです。月読命(ツクヨミノミコト)といい、夜を司る神様だとか。はたくん的には「これで弟も妹も制覇できるから須佐神社とセットで!」と大おすすめでした。

実際、素晴らしい建築物でした。色も芸術的、夕陽の色。まさに夕陽が沈む海の崖の上に立つ神社として、このあと訪れる夜の神様を祀るにはうってつけだね、なんて話していたのですが……。

「あれ?どこにも月読命って書いてないね?むしろ天照大御神と須佐之男命の名前があるよね?」

何か変だねと気づいた我々、車に戻ってからググってみましたらば、結局、単にはたくんの勘違いで、ここは姉と弟それぞれを祭神にしている二社からなる神社とのことでした。

H「あれーー!?おいらアホだ!」

L「ちょっと!願い事してもうたよ!笑」

H「天照さん、“え、それ妹だけど“って絶対なってる!」

L「ていうか、じゃあ妹どこにいてはるん?」

スマホ検索してみましたら、ものすごく近くに月読神社ってところがありました。ここから五分だとか。じゃあ、行かない手はない。

H「せっかくだから」

L「オッケー、グーグルさんにナビってもらうね」

ミスを取り返せると気づいた我々、ご機嫌でナビについて行きました。

ところが。

行けども行けども何もないんです。入口らしきものも何ない。「目的地です」とアナウンスされても、そこは普通に国道の途中。山道をうねうねあがってきただけ。

H「この右の山の上っぽくない?入口どこ?」

L「だとしたら、この山、道路に挟まれてるっぽいね。逆側の道、いってみよっか」

Uターンしてきた道を戻り。山の周辺をうろうろすること数分。

普通に運転していたならまず気づかないでしょう。国道の脇の藪の入り口に、膝ほどもない石柱が立っていて、「月読神社」と刻まれていました。車は入れない、ただの山道です。山道として整備されている感じもない。人が一人上がれるくらいの細い段がくねくねと上につながっているみたい。

L&H「あっったああああ!!」

我々、車を止めて登ってみることにしました。

🕰午後四時過ぎ、ハイキング開始。

途中鹿よけの金網を開けながら、先の雨で少しぬかるんだ山道をただひたすらあがっていきました。ここ、多分普段からあんまり人が出入りしていない。そういう気配がないんです。そして、道がまあまあきつい。

私たちは時間の感覚もなくしながら(二十分くらいだった気がします)、やがて開けたところにお社が見えてきました。

L「ぜえ、ぜえ、ぜえ」

H「ついた……いや、ついてない、これもなんか違う」

違う名がついている神社、そこには知らない名が二柱分書いてあって別モノでした。とりあえず手を合わせるものの。

H「トラップじゃねえか!!」

L「トラップいうな!!あ、ほら、さらにむこうに山道が」

H「まだ登れとな。よっしゃあ、登ってやるー」

そこからは、より過酷でした。小笠原諸島で崖っぷちハイキングしましたが、それに勝るとも劣らぬシダの伸び放題っぷり。大人が一人やっと通れるくらいの狭さにもなります。足元は滑ります。両サイドから伸び放題のシダをかき分けかき分け進みましたら、やっと頂上が見えてきました。

H「(ハスキー声で)あとすこしだ、がんばるんです!」

L「はあ、はあ。成さん、平泉成さん。応援ありがとう、ほら、見えましたよ」

H「(ハスキー声で)はあああ!おおおおお!鎮座されておる!」

慎ましやかなお社が山の頂点に鎮座しておりました。

🕰午後四時半ごろ、月読神社。

生い茂る山の緑で周りの景色は見えません。ただただ静かに、我々はしばしその空間にいることを楽しみました。ちょうどこれから夜が始まる時間だったから、夜の神様に会いに来るにはいいタイミングだったかもしれません。最後にいくつかお供えものの空きビンや転がっているプラスチックなど、ゴミを拾って帰ることにしました。

帰りは随分と軽やかになりました。とはいえ、よく滑る!気をつけて!と声を掛け合いながら、下り坂をどうにかして半分以上戻ってきたころ。曲がりくねる山道の途中で、はたくんがふと何かに気づいたのです。

「らぶさん、あそこ、なんかあるよ」

読者の皆さんは、自分の目をどのくらい信じていますでしょうか。

そりゃあ、気をつけて登ってきたのだから、周りをよくみながら歩いてきたよと。責任感が強い人ほど自分の目を信じているはず。

客人の私に怪我などあってはならないと、常にお兄さん的に目を配ってくれるはたくんです。そして大事なドラマーですから、ライブ前に怪我などあってはいけないと私もはたくんのことをいつも気にしています。二人ともお互いにしっかりと周りをよくみていたはずなんです。

同じ道を下ってきただけなのに。行きは、まったく気づかなかった。なんならそのあたりで途中写真もとったよね?こんなのあった?本当にここ通った?

L「行きは気づかなかったね?何これ?」

ボーリングの玉くらいの、苔に覆われた石の玉が転がっていました。そして、おそらくそれを載せていただろう円柱は割れています。すべてが苔むしており、ずいぶん古いものだとわかりました。その古さに感動した我々は、写真を撮りはじめます。

ところが、目が慣れてくると、周りが一気に見えてくるものですね。その玉や崩れた円柱を囲むように、苔むした石が長方形に並べていることに、今度は私が気づきました。

L「はたくん、これお墓だよ!きっと昔の偉い人の、遺跡みたいなお墓だよ!」

気づいて以降、私たちは写真を撮るのをやめ、「立派なものを見せていただいた」と、ありがたく手を合わせて下山することに……した、その直後。

H「わーーーーー!!らぶさん、いっぱいある!!!」

振り返ると、はたくんが降りる道の先に指をさしていました。

突如眼前に現れた、古代出雲遺跡のような異空間。その空間だけ森が開けていて、ぽっかりとあいた夏の空に向かって、いくつもの「それら」がそびえ立っていました。自分たちの背よりも高く伸びています。

H&L「なんだこれ……」

呆気にとられた我々はしばしそこに佇むことしかできませんでした。

〜後編へ続く〜

 

どうでもいい小噺を。

はたくんの軽自動車、中古の五万円だそうです。すごい。なぜかすごいスピーカーの音がいい。前のオーナーでかした、です。MDプレイヤーがついているので、次回島根にいく時、はたち前後の私のデモが入ってるMDを持っていこうと思います。

はたくんの地元の同級生が営むもとやま自動車、友達価格だそうです。そんなもとやま自動車の息子が、「1000日の夏」MVでいい表情を見せている野球少年です。

皆様、島根にお越しの際は、もとやま自動車で車を買ってください。


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