LOVEのひろいばなし Vol.100「ゾロ目の日ライブ」

記念すべき、ひろいばなし百話目です。 そして今日はゾロ目の日ライブの最終回が夜九時からあります。
二〇二〇年、世界的パンデミックの兆候をみてまだ音楽業界がライブをやるかどうかの瀬戸際から「向こう半年決まってるライブ、抑えた会場どうすんの……」と戦々恐々としている中。
我が事務所は、所属アーティスト(わたし)が根性論ではなくサイエンス派なのと、ちょっとの負債が命取りになるという判断で、一切のライブをやめることにしました。判断がちょっぱやだったと記憶しております。
その代わり、本当に幸運なことにプロデューサーの井上慎二郎さんが所有するプライベートレコーディングスタジオからの生配信を。
生配信といえば、毎週金曜日の朝九時に、六本木のTSUTAYAの店の片隅からネットっ子のそらのちゃんと二人で配信するという「朝 LOVEやねん」という企画がありました。みなさん覚えてますでしょうか。私、ほぼほぼこの頃の記憶がないんですけども。
私のような夜型の寝坊助には地獄のような企画でして。そもそも寝起きで喉は開いてなくて歌うの辛いわ、頭は働かないわ、時々九時すぎてから滑り込んでしまうわ、なぜかそのほうが視聴数伸びるわ。出勤したてのオフィスからなぜかものすごい人数が見ているという、皆様の金曜の朝のやる気のなさにつけこんだような配信番組でした。たった一年ながら、毎週金曜の六本木。ちなみに直後もミッドタウンに移動してラジオの生放送。ものすごいカロリー消費でした。
そんな朝LOVEから十年後の二〇二〇年。四月に「夜LOVEやねん」としてglor 103 studioからはじめてのYouTube LIVE、生配信をしたのです。
音響のプロだと思っていた制作チーム(人数二人ですよ?たった二人なんですよ?)が、照明と映像のプロとしてもメキメキと機材を強化しておられ。スタジオ内、多くても四人。これなら行けるということで。
その後、Resonant Graceのアルバムリリースパーティをライブ会場で予定していた五月五日から、「ゾロ目の日ライブ」として、暗中模索のパンデミックの霧の中、一ヶ月ずつ未来への約束をしながら進んでまいりました。
もう喉元を過ぎ去っているのであの頃のことは私も忘れていることが多いですが、本当に「まぢで謎、意味不明」な状況でしたよね。ワクチン自体もまだなかったし。私も、何言っていいんだか、みたいな。
たくさんの人たちがおうちで不安にしていた中、楽しんで見てくださったのがよくわかり、心の拠り所にしていただき、これはやっていける!やり甲斐がめっちゃある!と手応えを感じたものでした。
もしこれがなかったら、私は確か二〇二十年の十二月に新宿LOFTで東京事変ドラムス刄田綴色さんのイベントに出演した以来、ものすごく長い期間ライブをしなかった可能性があります。
あれから三年。
本当にこれ毎月やってなかったら、私自身精神のバランスも崩れていたんじゃないかと思います。そもそも歌っていないと息がしづらい人間です。ラジオの生放送にも随分と救われましたが、本当に月に一度歌える場所があったことに救われました。
で、一向にコロナにかからないもんだから自分は無症状キャラなんじゃないかと思っていたら、今さらなんでだよ、なタイミングで罹患し、なんと本日最終回に限って「ゾロ目の日」じゃなくなっちゃったっていうオチ。ちゃんちゃん。
で、一番嬉しいのは、この三年でモニター環境と歌の関係を勉強しなおせたこと。
レコーディングと同じ環境、ヘッドフォンとマイクで歌ってたもんだから、あんまり自分の声のディテールが聞こえてしまって、ライブとしては逆に歌いづらい、勢いが出せない、みたいな。これは聞いてる人にはわからないかもしれないけど、歌い手本人にとってはどうにも尻がむず痒い状況。
でも三年もやれば身につくものです。
発声、発音、ピッチ、演奏のタッチ。
テレビの音楽番組などで歌うとよく「アラが目立つ」といわれたりします。一方、テレビで見ていて違和感なく見ていられる人は、マジで歌が上手いとも言えます。
それと同じかな、YouTube LIVE、画面越しのLOVEさんに私は毎月帰宅してからダメ出ししてました。語尾を切るな!ブレスが甘い!とか。だからめちゃくちゃ勉強になりました。込めてるつもりものが細部まで音になってないと意味がない。みたいな。
逆に慎二郎くんは「夜LOVEやねん」の時に、「歌がうますぎて生に聞こえない」というさらに難しいお題を投げてくれました。なるほど、それもつまらん。
嗚呼、ライブって。奥深い。
今となってはこの経験がライブハウスのモニターに戻っても生きております。たぶん三年前よりも自分のボーカルとギター演奏に対して少しテクニカルスキルが上がった。と共に。
その日の空気とみんなの気持ちが私の歌になると言っても過言ではないくらい、みなさんに三年間歌う理由をいただきました。長らくご視聴ありがとうございました。日本全国から集うことができたこともそう。オンラインのいいとこは本当にそれに尽きる。距離を超えてお集まりいただき、三年間本当にありがとうございました。
今夜夜九時、友情出演ゲストが豪華です。カメラやってるけどどうやって弾くの、ギター井上慎二郎さん。島根にいるけどどうやって叩くの、のドラムス刄田綴色さん。
是非是非、生でご覧くださいね。皆様のコメントを拝見するのも楽しみにしております!

この間、井上慎二郎プロデューサーがですね、ソロキャンパーの4260Hさんとしてカミカミキャンプとかいって、YouTuberとしても大活躍でいらっしゃいまして。
この人はもう本当に何やっても成功するのかと想うでしょ。継続と根気はもちろんながら、状況判断力、先を見る力=メゲない力の生成力がすごいと想うお方です。あと機材にかける愛(予算ともいう)。これは投資能力だと思います。
私も贅沢はできないけど、機材とコンピューターには服よりも投資します。二十代から防音室を部屋に置いてもいます。
そういえば、フットボールアワーのお二人と大阪のMBSでラジオ番組をやらせていただいてた時のこと。ちょうど売れ始めた頃のお二人。のんちゃんさんが車を買おうとされてました。
「明石家さんまさんに、言われてん。手が届かへんような高い車を買えって。そしたらいやでもその車に合うように自分が成長するからって」
芸人さんは、ミュージシャンより機材は必要がないのかもしれないけれど、それも似たようなことだよなとふと思い出したりしています。
音楽なら、ソフト、機材、楽器、ケーブル、付属品。
映像なら、ソフト、カメラ、証明、ケーブル、モニター、照明とか?
フォトグラファーとかビデオグラファーもそうだけど、機材と仲良くしてる人が好きです。かっこいいと思う。
たった二人のスタッフさんでこのクオリティーで生配信させていただけたこと、音響にしても映像にしてもですが、やりたい企画を可能にさせる機材とその使い手あってこそ。
あらためて本当に素晴らしい制作チームに出会えてよかったなあと感謝しております。