LOVEのひろいばなし Vol.1「郵便物」

突然ですが、一番嫌いな家事を発表します。
出先から帰ってきて、ポストを覗き郵便物を確認する。あれ、家事として名前あるんですかね?
とにかくあの作業が苦手で苦手で仕方がありません。
なので私は一週間に一度か、10日に一度か…そのくらいしか見ません。
理由は色々あるけれど、とにかく、暴力的に感じる、が一番でしょうか。怖いんです。
しばらく家を空けるだけで溢れるポスト。もう入らないのに、それでも押し込む、それは何かの制裁なのかと。ガス漏れの時に電話する番号が書いてあるマグネットのペラペラのアレも、チラシも、全てが妙に行儀よく表向きになっていて、親切丁寧な顔をしているのも怖い。
「チラシお断り」って貼ってあることすら、もはやなんとなく怖い。マンションのポストエリアにゴミ箱がある場合にはほとんどがゴミ箱に直行させられているあの現象も。そこに心があまり使われていないことも。そして、この用紙を集めたらそれこそリサイクルできるのでは?というほどの不用品回収のお知らせとか、もうこのサイクルが、物事の作りが、怖い。
近所の個人経営カフェが手書きのメニューにメッセージを添えてお知らせを投函された時は怖くなかったですね。手紙、だと感じたからでしょうか。請求書は…いや、請求書は仕方ないですが、税金の取り立ての、これ何かの間違いじゃないかしらと薄目で見てしまうあの分厚さ。もう、あれはみんな怖い、でよろしいでしょうか、笑。
私は18歳から一人暮らしですが、人生で一度だけ他人と住みました。
ええ、恋人ってやつです。同棲ってやつです。棲みました。(そして、済みました。)
その頃の話を少ししてみます。
私は一人になれる部屋がないと仕事ができません。部屋の中に一人、という物理的条件のみならず、外から絶対に見られる角度がない、とか、他人の気配を感じない遮音、など、自分にしかわからない感覚的な条件も必須です。もうこのスタイルじゃないと、曲が書けなくなる気がする。いや、できないと思い込んでいます。
ですので「仕事部屋」には拘ります。「ミュージシャンの物件探しをなめるな」はミュージシャンじゃない方には伝わりづらいかもしれません。これまでも散々苦労してきた物件探し。私はちょっとやそっとのことでは引っ越したくない派です。どうせ理想の物件など簡単には見つからないだろう、とたかをくくり、「本当に合う物件があったらご縁だね」と彼と口約束をしました。
…ところが3軒目で見つかっちゃったんですよね。
最上階、1フロア一戸。遮音が完璧。日本のアパートメントで、ってLOVE調べですが、まずこんな物件はない。ご近所からの目線もなく視界も良好です。
そのうえ番地に自分の誕生日が入っていました♡
そういうところは妙に信心深いので、こりゃあ色々運命に違いないと思い込み、はい!引越し決まり。
本題に戻ります。
この物件にて、私は人生で初めてポストを開けて郵便物を取り出す作業から晴れて解放されました。
家事分担ってなんて素晴らしいんでしょう。
日本語があまりまだ読めない心優しい同居人が、テキトーに仕分けしてくれるおかげでした。
私の目に入る前に、私が手を汚すことなく、行くべきところへやつらは還る。嗚呼、さようなら!
誰に、何に対してかはよくわからないけれど、ざまあみさらせ!と、それはそれは高らかに歌いたくなるほどの気分でした。
さて、時は流れて、コロナ禍です。
私は今、郵便ポストを開けるのが楽しみで仕方ありません。
そうです、Amazonです。楽天です。そしてpaypay モールです。以前にも増して、ネットショッピングにお世話になる習慣がつきました。何が可愛いって、あの、再配達のお知らせメモ。ちっちゃい!
今では、「チラシの山をベッドにして、あの可愛らしい再配達お知らせメモが軽やかに昼寝する安眠の地、それが我がアパートのポストなり」そう思ってポストを開けられるようになりました。
このコロナ禍において、私はコンプレックスを一つ克服することができたのです。

ポストを開ける作業が怖くないだけでも、QOL、爆上がり。週に2回は開けられるようになりました。
そういえば、ポストと似て非なるものってeメールのメールボックスだよなあ、と思って今確認してきました。現在、未読メールが2235件、ははは...これでもずいぶん減らした方です。
続いて、確認していない留守電が39件。とりあえず最新の留守電を、再生してみましょう。
おっと、申し訳なさそうな、カメラのキタムラの〇〇さんからです。私の不調のiMacを検証し、Apple本社での修理の引き継ぎをしてくださった方です。
「お世話になっております!あのぅ、そのぅ、例の、Appleの方でのiMac修理なんですが、症状もなく内部は何も問題がないって…えっと、元も子もない返事が返ってきてしまったんですけれども、全く別のかすり傷が見つかってですね、別途請求が9万…」くらいで今、切りました。切ってやりました。
※ちなみにもうその件はカタがついて引き取りも済んでいます。かすり傷に9万なんて払ってません。
最後にもう一点。
毎年私に年賀状をくれるお友達の皆さん。見るのが一週間ほど過ぎてから、何なら初詣で会ったり、初仕事などでご一緒した後になって「年賀状ありがとう!今見た!デザインめっちゃ素敵!」などとLINEで返す私と友達でいてくれて本当にありがとう。そして、申し訳ない。年賀状は、ポスト嫌いの私にとって、年に1度だけ、「ポストを開けるといいことあるよ」と安心を運んでくれる天使です。来年は1日に開けられると思います。